武田薬品は13日、EXKIVITY(mobocertinib)について、EGFR エクソン 20 挿入変異を伴う非小細胞肺がんの最初で唯一の経口治療薬として中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)より承認取得したと発表した。
対象は、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行し、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がんの成人患者。
EXKIVITYは、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう特異的に設計されたファースト・イン・クラスの経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)。EGFRエクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がん患者において臨床的に意義のある持続的な奏効が示されており、現在、中国のこの患者集団が使用できる最初で唯一の治療薬である。
エクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう設計された経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるEXKIVITY は、NMPAのブレークスルーセラピープログラムの一環として審査を受けた。なお、同適応症の完全承認は、検証試験における臨床的有用性の確認が条件となる。
肺がんは中国において最も多く診断されるがんで、非小細胞肺がんは中国のすべての肺がん症例の約85%に相当する。中国においてEGFR変異を伴う非小細胞肺がんと診断された患者のうち、最大10%がエクソン20挿入変異を有している。
この有病率にもかかわらず、中国の患者には、これらの変異によって引き起こされるがんに対処するよう設計された標的治療薬の選択肢がなかった。
今回の承認は、プラチナ製剤ベースによる治療歴を有するEGFRエクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん患者114人を対象とし、EXKIVITY 160mgを1 日1回投与したP1/2相試験における、プラチナ製剤による前治療を受けた患者集団の解析結果に基づくもの。
P1/2相試験の結果では、IRCによる確定ORRは28%、IRCによる奏効期間(DoR)の中央値は15.8カ月、全生存期間(OS)の中央値は20.2 カ月、IRC による無増悪生存期間(PFS)の中央値は 7.3 カ月であった。
最も頻度の高かった治療に関連する有害事象(TRAE)は、下痢(92%)、発疹(46%)、爪囲炎(38%)、食欲減退(37%)であった。
EXKIVITY は、プラチナ製剤ベースの化学療法による治療歴を有する EGFR エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がんの成人患者に対する治療薬として、米国、英国、スイス、韓国、オーストラリアおよび中国で承認を取得している。
世界保健機関(WHO)によれば、非小細胞肺がんは最も一般的な肺がんであり、毎年世界中で診断される肺がんの推定新規患者数220万人の約85%を占めている。
上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん患者は、非小細胞肺がん患者の約1~2%であり、欧米人よりもアジア人で多くみられる。
EGFRエクソン20挿入変異を特異的に標的としていない EGFR チロシンキナーゼ阻害薬や化学療法の効果は限定的であるため、EGFRエクソン20挿入変異を伴う疾患は他のEGFR 変異を伴う疾患よりも予後不良と言われている。
◆Awny Farajallah 武田薬品グローバルメディカルアフェアーズオンコロジーのヘッドのコメント
中国におけるEXKIVITYの承認は、NMPAおよび中国政府の献身的な協力と支援がなければ実現することはできなかった。
肺がんは、重篤な疾患であり、当社は治療が困難ながん種を標的とする EXKIVITYのようなプレシジョン・メディシンの創薬と提供が患者さんの転帰を改善する可能性を有することを確信している。
武田薬品は、中国において当社からの二番目の肺がん治療薬として EXKIVITY を導入することをとても嬉しく思っており、この患者ニーズを満たすため、引き続き研究開発に取り組んでいく。
◆Sean Shan Takeda China プレジデントのコメント
約20 年前に EGFR 変異が発見されて以来、エクソン20挿入変異を有する患者さんは 、疾患を治療する標的治療薬を待ち望んでいた。中国におけるEXKIVITYの承認は、注目に値するブレイクスルーであり、革新的な治療薬の導入の中国政府の奨励および促進に対する精力的な取り組みを示している。
EXKIVITYは、これまで十分な治療を受けられていない集団の経口標的治療薬となり、今回の承認により、当社はこの地域の患者さんのためにこの複雑かつ不均一な疾患に打ち勝つことに一歩近づく。