大学生のメンタルヘルス可視化システム開発 岐阜大学

コロナ禍のメンタルヘルスへの影響などを学生個人にフィードバックして支援

 岐阜大学保健管理センターの堀田亮准教授は、国際標準の心理指標であるCCAPS日本語版を用いて、大学生のメンタルヘルスを可視化するWeb回答システム「CCAPS-iQAS」を開発した。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は未だ終息に至らず、大学生のメンタルヘルスへの影響は大きな社会問題となっている。同システムは、回答した学生に対して自動かつ即時に結果がフィードバックされ、相談窓口の連絡先や結果に応じた相談を促すメッセージも表示される機能を搭載している(図1)。

図1 「CCAPS-iQAS」の回答結果画面

 こうした機能は、他に類を見ないもので、その研究成果と意義が高く評価され、日本学生相談学会発行の学生相談研究に掲載された。同システムは、岐阜大学をはじめ、複数の大学ですでに実装されている。
 コロナ禍が大学生のメンタルヘルスに与えた影響に関しては、これまで国内外で多くの研究結果が公表されてきた。だが、データは研究のために用いられているばかりで、学生個人に対するフィードバックや支援への活用はなされていなかった。
 そこで、同研究では大学生のメンタルヘルスを可視化するだけではなく、回答した学生個人にも結果を即時にフィードバックすることで、学生自身の自己理解や、要支援学生の早期発見、早期支援にも活用できるWeb回答システムの開発を試みた。
 具体的には、高い信頼性、妥当性が実証されている国際標準の心理指標であるCCAPSの日本語版を用いて、大学生のメンタルヘルスを可視化するWebシステム「CCAPS-iQAS」を企業と共同開発した。
 また、岐阜大学生約4000名に対して試験運用を行い、高い安定性と実用性を確認した。
 今後、CCAPS-iQASを導入する大学が増えていけば、大学生のメンタルヘルスに関するビッグデータを構築できるようになり、年度ごとの特徴や推移といった実態把握に役立てることができる。
 また、性差や学年差といった比較検討も可能となり、大学生のメンタルヘルス支援に関するアクションプランの立案への貢献が期待される。

タイトルとURLをコピーしました