カルケンス 初回治療の慢性リンパ性白血病治療薬で承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカは、カルケンスについて、昨年12月23日付で、「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を適応症に厚生労働省より承認されたと発表した。
 同承認は、国内P1試験および、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象とした国際共同P3試験(ELEVATE-TN 試験)の結果に基づくもの。
 ELEVATE-TN試験では、カルケンスの単剤投与またはカルケンスとオビヌツズマブの併用投与が、標準化学免疫療法であるクロラムブシルとオビヌツズマブの併用投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。なお、同試験の中間解析データは、2020 年に The Lancet誌で発表されている。
 また、今回の適応拡大の承認では、未治療の日本人CLL患者を対象に含むP1試験も評価され、この試験では、カルケンスとオビヌツズマブの併用による全奏効率は 100%(9/9 例)(95%信頼区間: 66.4, 100%)であった。
 CLLは、欧米ではもっとも患者数の多い白血病であるが、日本および東アジアでは稀な疾患と見なされており、新たに診断される患者は、日本全国で1年間に10万人当たり1人未満である。
 カルケンスは、日本以外にも米国ではCLLおよび小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として、EU を含む84カ国の国々ではCLLの治療薬として、未治療および再発・難治性の患者を対象に承認されている。また、同剤は、1種類以上の前治療を受けたマントル細胞リンパ腫(MCL)の成人患者の治療薬として、米国およびその他複数の国々で承認されている。
 日本および欧州では、マントル細胞リンパ腫の治療薬としては、現在、承認されていない。

◆伊豆津宏二国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科長のコメント
 ELEVATE-TN試験の結果により、治療歴のない慢性リンパ性白血病患者さんに対して、カルケンスが化学免疫療法であるクロラムブシルとオビヌツズマブの併用療法との比較で、無増悪生存期間を有意に向上させたことが確認された。
 今回の承認により治療の早い段階でのカルケンス使用は、日本の医師と患者さんにとって大きな進歩といえる。

◆大津智子アストラゼネカの執行役員研究開発本部長のコメント
 未治療の慢性リンパ性白血病患者さんにおいて、カルケンスは標準治療と比較して長期の有効性と忍容性が期待される次世代のブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤である。今回新たに日本でもこれらの患者さんを対象にカルケンスが承認されたことにより、より多くの患者さんにカルケンスをお届けできるようになったことを大変嬉しく思う。

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