武田薬品は24日、開発中のデング熱ワクチンについて、FDAが生物学的製剤承認申請(BLA)の優先審査に指定されたと発表した。
米国では、TAK-003は4歳から60歳を接種対象とした4種すべてのデングウイルス血清型によって引き起こされるデング熱の予防を目的として審査されている。
デング熱は、蚊媒介感染症であり、米領のプエルトリコ、バージン諸島、サモアを含む125ヵ国以上で流行している。デング熱の発生率は、過去20年間にわたり世界的に増加しており、ラテンアメリカ、カリブ諸島、東南アジアから帰国した旅行者における発熱の主な原因となっている。
TAK-003 のBLA申請は、グローバル臨床第3相試験であるTIDES試験against の安全性および有効性データに基づくもの。この試験では、12ヵ月時点で症候性デング熱の発症を80.2%予防することで、主要評価項目を達成した。
また、18ヵ月時点でデング熱による入院の90.4%を防ぐことにより副次評価項目を達成した。探索的解析では、ワクチン接種後4.5年間(54ヵ月)にわたりデング熱を予防したことが示された。
このTIDESの探索的解析により、4.5年の追跡調査期間を通して、TAK-003がワクチン接種前の血清反応が陽性の被験者群(血清反応陽性群)と陰性の被験者群(血清反応陰性群)の両方を含む、全体集団においてデング熱による入院の84%、デング熱の61%を予防したことが示された。
現在、TAK-003はインドネシア以外の保健当局では承認されていない。インドネシアでのTAK-003の承認後、武田薬品は他のデング熱流行国および非流行国での規制当局への申請を継続的に推進する予定である。
2022年10月、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)は、欧州連合およびEU-M4all制度に参加しているデング熱流行国において、4種すべてのデングウイルス血清型によって引き起こされるデング熱の予防を目的に、4歳以上を接種対象としてTAK-003の承認を推奨した。欧州における承認は最終段階にあり、今後数ヵ月以内にEMAからの製造販売承認を見込んでいる。デング熱流行国であるラテンアメリカやアジア地域においても審査が進行中である。
◆Gary Dubin武田薬品グローバル ワクチン ビジネス ユニットのプレジデントのコメント
TAK-003は、医療従事者にとって重要なデング熱予防の選択肢となる可能性があると考えており、承認に向けてFDAと引き続き協議している。
2022年単年で見ても、米国本土でのデング熱感染888件の96%以上はデング熱流行地域への旅行によるものである一方、米領の流行地域での感染316件の97%は流行地域内での感染であった。当社は、デング熱の影響を受けている皆様に最適な医療サービスを提供するという方針に基づき、この申請をFDAとともに全力で進めていく。