アビガン 新型コロナ感染症対象の開発中止 富士フイルム富山化学

 富士フイルム富山化学は14日、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、新型コロナウイルス感染症を対象とした開発を中止すると発表した。
 同社は、2021年に、ワクチン非接種の新型コロナ感染症患者に対する「アビガン」の重症化抑制効果の確認を目的に、目標症例数316例とした国内P3試験を開始した。
 だが、ワクチン接種率の向上や従来株と比べて重症化率が低いオミクロン株の流行などの環境変化を踏まえ、本年3月に84例で被験者の組入れを終了していた。
 その後、84例で得られたデータの解析では、有意な結果が得られていないことを確認。今後の対応を検討する中で、今般、「アビガン」の新型コロナ感染症を対象とした開発を中止し、新型コロナ感染症に係る効能・効果などを追加する製造販売承認事項一部変更承認申請の取り下げを行うことになった。
 アビガンは、2014年3月に新型または再興型インフルエンザウイルスを適応症として国内で製造販売承認を取得した抗インフルエンザウイルス薬。
 他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分な新型または再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合に、患者への投与が検討される医薬品である。

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