米国臨床病理医協会(College of American Pathologists: CAP、本部:米国イリノイ州)は30日、本年8月29日に、国立がん研究センター東病院(千葉県)に、CAP認定を授与したと発表した。
CAPは、世界最大の病理専門医による組織で、世界をリードする検査施設の認定プログラムおよび外部技能試験プログラムを提供している。
また、CAP認定は、病院内や検査機関で行われる血液検査などの検査能力評価で国際的権威があり、1960年代初頭にCAP検査室認定プログラムとして始まった歴史ある認定プログラムだ。
米国政府もその認定プログラムを、米国政府自身が策定した監査プログラムと同等かそれ以上の厳しさであると認めている。CAP の認定プロセスは、臨床検査を必要とする全ての患者に最高水準のデータ品質を保証するため、査察チームは臨床検査室の過去2年間のあらゆる作業記録と精度管理手法を監査する。
査察チームは、臨床検査室従業員の能力、検査機器、検査設備、安全管理プログラムとその記録、および全体的な品質マネジメントシステムについても監査を行う。
日本には、現在までに30を超えるCAP認定臨床検査施設があるが、そのほとんどは民間の臨床検査センター、研究機関、あるいは遺伝子検査専門の検査機関である。
今回、病院内における臨床検査室として、日本では現在唯一となるCAP認定を国立がん研究センター東病院が取得した。これにより、同病院は、世界で臨床検査サービスの品質向上に尽力する8000以上のCAP 認定臨床検査施設のひとつに加わった。
国立がん研究センター東病院は、1992年に設立され、年間9000人を超える新患の方が訪れる国内トップクラスのがん専門病院。世界レベルのがん医療の提供と新しいがん医療の創出をミッションに掲げ、国の「臨床研究中核病院」、「がんゲノム医療中核拠点病院」などに選定されている。併設する先端医療開発センターとともに、国際的なネットワークを基盤とした研究開発の拠点として、先進的ながん治療薬・医療機器開発やゲノム医療をはじめとした個別化治療を推進し、多数の実績を上げている(https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/index.html)。
◆国立がん研究センター東病院の査察チームの一人でCAP認定評議会議長、米国臨床病理医協会フェローのリチャード M. スキャンラン氏(医師)のコメント
今回の査察において我々は、国立がん研究センター東病院の品質マネジメントシステム(QMS)に、さらなる改善の余地を見出そうとしたが、それを見つけることはできなかった。
逆に、国立がん研究センター東病院のQMSが、院内の異なる臨床部門を適切に連携させていることに感銘を受けた。特に、臨床検査部門と看護部門のような異なる部門がこれほど密接に連携している病院施設は、ほとんど見たことがない。
◆エミリー ヴォルクCAP会長(医師、米国臨床病理医フェロー)のコメント
国立がん研究センター東病院は、CAPと同様に、患者と患者を第一に考える医療従事者の皆様のために、臨床検査室の品質を常に高いレベルで維持することに尽力されている。
◆大津敦国立がん研究センター東病院病院長のコメント
国立がん研究センター東病院は、これからも CAP 認定を維持することで、最高レベルの品質が担保された検査結果を提供し、より信頼される病院として、“患者さん第一主義”の考え方のもと、治療のさらなる向上と臨床研究・開発の推進に努めていきたい。