ファンペップは29日、オーストラリアで実施している抗体誘導ペプチド「FPP003」の尋常性乾癬を対象疾患とするP1/2a試験について、最終被験者の最終観察日が終了(LPO)したと発表した。
同試験は、本年6月6日に被験者登録を完了している。今後、同試験のすべてのデータを収集し、解析を行う予定である。速報結果の開示時期は、2023年第1四半期(1月~3月)を見込んでいる。
同試験は、FPP003のFIH 試験(First in Human 試験、ヒトに対して初めて投与する試験)として実施されている尋常性乾癬を対象疾患とした用量漸増試験(36 名)である。
主要評価項目は安全性だが、尋常性乾癬の患者を対象としているので有効性についても探索的に評価する。
抗体誘導ペプチドは、患者様の体内で抗体産生を誘導することにより治療効果を期待するペプチド治療ワクチンである。バイオ製造施設で製造する抗体医薬品とは異なり、抗体誘導ペプチドは化学合成で製造することが可能なため製造コストを抑制できる。
加えて、投与後は患者の体内で免疫細胞が一定期間持続的に抗体を産生するため、薬剤投与間隔も長いことが期待される。この特徴により、同社は、高額な抗体医薬品に対して医療費を抑制できる代替医薬品として抗体誘導ペプチドを開発し、先進国で深刻化する医療財政問題の解決や患者の負担軽減に貢献していく考えだ。
ファンペップは、抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術を保有していることを強みとし、大阪大学大学院医学系研究科との共同研究によって様々な疾患を対象とする抗体誘導ペプチドの創薬研究を行っている。
FPP003の標的タンパク質IL-17Aは、様々な炎症性疾患の病態に重要な役割を担っており、先行する抗 IL-17A抗体医薬品は、尋常性乾癬、関節症性乾癬、強直性脊椎炎及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎等の幅広い疾患を対象に薬事承認を取得している。
FPP003についても、日米欧等での世界展開を視野に入れて開発を進めており、現在、オーストラリアで尋常性乾癬を対象疾患としたP1/2a試験を進めている。
FPP003は、住友ファーマとの共同研究により創生した開発化合物である。ファンペップは住友ファーマとの間で北米での全疾患を対象とする独占的開発及び商業化権に関するオプション契約を締結しており、日本を含む北米以外の地域については住友ファーマが優先交渉権を保有している。
同件は、通期業績に対する影響はないが、計画通りの順調な試験進捗を示すものである。