アストラゼネカは27日、リムパーザについて、進行卵巣がんの初回化学療法後の維持療法を対象とした 2 つのP3試験において、単剤療法およびベバシズマブとの 併用療法が臨床的に意義のある全生存期間の延長(OS)を示したと発表した。
加えて、相同組換え修復欠損(HRD)陽性の患者に対するベバシズマブとの併用療法として実薬対照であるベバシズマブ単剤療法との比較(PAOLA-1 試験)および、BRCA変異陽性の患者に対する単剤療法としてプラセボと比較して(SOLO-1試験)、類薬のクラスをリードする無増悪生存期間(PFS)が示された。
初回維持療法において、バイオマーカーで選択された進行卵巣がんと新たに診断された患者を対象に実施された両試験では、一貫した安全性プロファイルも示された。
9月9日にPAOLA-1試験および SOLO-1 試験結果が、2022年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表され、SOLO-1 の結果がJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。
卵巣がんは一般的な婦人科がんのひとつであり、予後不良と高い死亡率を伴う。患者の 2/3 以上が進行性と診断され、これらの患者さんの約50~70%が 5 年以内に亡くなってしまう。進行卵巣がんの患者のうち、最大で1/5の患者がBRCA変異陽性で、また約半数がHRD陽性(BRCA 変異陽性の患者も含む)である。
◆GINECO グループ(フランス・パリ)会長で、PAOLA-1 試験の治験責任医師のIsabelle Ray-Coquard氏のコメント
HRD 陽性の進行卵巣がんと診断された女性にとって、生存期間の延長を目的とした初回維持療法となる標的治療は重要である。指標となる5年追跡に基づくこれらの最新結果から、ベバシズマブ単剤療法と比較してリムパーザとベバシズマブとの併用療法によりHRD陽性の患者さんの死亡リスクが38%減少することが示されており、この併用療法の臨床的に意義のある長期生存のベネフィットをさらに強調している。
今回確認された追加データは、この併用療法によって患者さんが家族をはじめとする大切な人たちとより長い時間を過ごすことができる可能性を示しており、医師および患者さん双方にとって有望なニュースと言える。
また、卵巣がん患者さんの治療方針決定における個別化医療という治療アプローチの一環として、バイオマーカー検査が重要であることも強調している。
◆Women and Infants Hospital(ロードアイランド州プロビデンス)Program in Women’s Oncologyのディレクターで、SOLO-1試験の治験責任医師のPaul DiSilvestro 氏のコメント
今回発表された SOLO-1 試験の長期結果から、リムパーザが初回維持療法として全生存期間の臨床的に意義のある延長を7年以上維持し続けることが示された。初回維持療法の設定が、患者さんの生存に大きな影響を与える可能性があるため、進行卵巣がんと新たに診断された患者さんの長期生存を達成することはきわめて重要である。