「スギサポ walk」を活用したCOPD患者の行動変容調査結果を報告 アストラゼネカ

COPDの早期受診は本人だけでなく家族への周知・理解促進も有用

 アストラゼネカは23日、スギ薬局(本社:愛知県)が運用する歩数記録アプリ「スギサポ walk」を活用することで慢性閉塞性肺疾患(COPD)潜在患者とその家族を対象に、疾患啓発を通じ受診行動変容を検証するプログラム実施に関する調査結果を発表した。
 今回の調査結果から、COPD患者の行動変容を促すためには、喫煙者本人だけでなくその家族への周知・理解促進の啓発が有用である可能性が示唆された。調査方法の概要および結果は次の通り。

【調査概要】

◆調査期間:
①期間限定ミッション:2022 年 3 月 30 日(水)~4 月 5 日(火)の 1 週間
②期間限定ウォークラリー:2022 年 4 月 25 日(月)~5 月 24 日(火)の 1 か月間
③行動変容調査:2022 年 6 月 15 日(水)~21 日(火)の 1 週間

◆調査対象:スギサポ walk ユーザーのうち、喫煙者本人/過去喫煙していた本人/家族が現在喫煙者/家族が過去喫煙歴あり の人 ※過去喫煙は過去に 10年以上の喫煙歴と定義

◆調査人数:配信対象者数32万7635人(各調査)、回答者数 23万8393人(③行動変容調査)

◆方法:調査期間①で本人または家族に喫煙歴のあるユーザーを抽出するとともに COPD に関する認知度調査(期間限定ミッション)を実施し、その後、調査期間②で①で抽出されたユーザーに対し疾患啓発につながる②ウォークラリーを実施した。一定期間後に行動変容について調査を実施した(調査期間③)。

◆調査の流れ

【調査結果の概要】
<①期間限定ミッション>
◆回答者数 26万0787人。COPDに関する認知度調査では、約4割が COPD についてなんらかの知識があるという結果であった。COPDの一般的な認知率は3割程度と言われており、それよりも高い結果であった背景として、スギサポ walkユーザーは健康意識がある程度高いことが影響していると推察される。
<②期間限定ウォークラリー>
◆①で抽出されたユーザーに対し、期間限定ウォークラリーを実施し、配信対象者32万7635 人のうち 13万8049人が参加した(参加率 42.1%)。期間中にラリーをゴールしたユーザーは12万6135人でゴール率は 91.4%と高い割合となったた。
<③行動変容調査>
◆いずれの属性においても「回答率 70%以上」
配信対象者数 32万7635人のうち回答者数23万8393 人で、回答率は約73であった。
 また、いずれの属性においても、配信対象のうち約70%以上という高い回答率が得られた。

◆本人だけでなく「家族も含めることで裾野の広い疾患啓発」を実現
 今回の取り組みでは、女性が7割以上、40代以降が6割以上を占めるスギサポwalk ユーザーに情報発信することで、男性が女性の2倍以上で高齢者に多い疾患であるCOPDにおいて、本人のみならず患者の家族(ケアギバー)も対象として調査を実施できた。
 その結果、疾患啓発の対象者数が、喫煙者本人だけをターゲットにした場合(16 万人程度)の 2 倍以上になり、より多くの方を対象とすることができた。
 また、さきほども触れたとおり、家族であっても回答率は約70%を超えており、潜在患者だけでなくその家族にあっても今回の取り組みに対して高い関心を寄せたことがわかった。

◆「家族喫煙」と回答した人の8~9割は「40~60 代女性」
 家族喫煙(現在、過去)と回答した人では、40~60代の女性が8~9割程度を占める結果となった。COPD患者、あるいは潜在的な COPD患者の「配偶者・パートナー」にあたる層や「親世代や娘世代の女性」が、高い関心を持って回答したと考えられた。

◆全セグメントで行動変容が確認できた
 「本人現在喫煙」では禁煙に関する行動変容が顕著で、回答した人の約16.2%の人が「これから禁煙を始める予定」、回答した人の約3.5%が「最近、禁煙を始めてみた」と答えた。
 さらに、「本人現在喫煙」では回答した人の3.0%、「本人過去喫煙」では回答した人の2.6%の人が「COPD について病院で相談してみた」あるいは「その予定」と回答した。
 また、「家族が現在喫煙者」では「家族で COPD について話をした」が回答した人の約 4.1%いた。高齢者が多い COPD 患者では情報源が比較的限られていることも多いと考えられるが、今回、女性が7割以上、40代以降が6割以上を占めるスギサポwalkユーザーを対象とすることで、喫煙者本人だけでなくその家族にも周知・理解促進する機会となった。
 その結果から、COPD患者の行動変容を促すために家族への啓発が有用である可能性が示唆された。
 COPDとは、主に長年の喫煙習慣などにより、気管支が狭くなったり、肺胞が壊されたりすることにより気流閉塞が生じる肺の生活習慣病で、主な症状として労作時の息切れ、咳・痰が挙げられる。
 だが、無症状あるいは症状を自覚していないCOPD 患者は稀ではない。診断されず未治療のままにして疾患が進行すると、息切れにより日常生活に支障をきたしたり、身体活動性が低下して要介護・死亡の可能性が増大する。
 そのため、COPD の早期診断と治療導入・継続が求められている。だが、緩慢に進行する疾患であるため、COPD は推定有病患者数が約530万人とされる中、治療を受けている COPD総患者数は約22万人と報告されており、未受診率・未診断率の高さが課題となっている。
 アストラゼネカではこれらの課題解決のために、早期発見・早期治療に向けたより効果的な情報提供機会の創出を模索していく。

◆歩数記録アプリ スギサポ walk
「スギサポ walk」は、バーチャルウォークラリーを体験しながら健康情報等を得ることが出来る歩数記録アプリだ。健康増進に繋がるクイズやアンケート機能(ミッション)も実装しており、ユーザーの心身の健康増進につながるクイズや健康状態に関するアンケート(ミッション)を継続的に実施している。
 「スギサポ walk」は、メドピアの連結子会社である Mediplat が開発と運用を行っている なお、今回の取り組みは、「i2.JP(アイツードットジェイピー;Innovation Infusion Japan)」というオープンなコミュニティで検討する中で、スギ薬局が運用する「スギサポ walk」を活用することになった。
 「患者中心」の実現に向けて、医療・ヘルスケア業界はどうあるべきか―この難題の解決策を探るべく発足したのがi2.JPである。アストラゼネカは、「患者中心」の実現を目指す中でCOPD患者への効果的な疾患啓発の方法を検討してきたこの活動を通じて、疾患啓発と行動変容について検討していく。

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