ウパダシチニブ 欧州委員会が成人の脊椎関節炎治療薬として承認 アッヴィ  

 アッヴィは16日、ウパダシチニブについて、欧州委員会(EC)が活動性のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎の成人患者の治療薬として承認したと発表した。
 対象は、C-反応性蛋白(CRP)の高値または磁気共鳴画像(MRI)により客観的な炎症の徴候が認められ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で効果不十分であった活動性のX 線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)の成人患者。
axSpAは、関節の炎症や背部痛およびこわばり等の運動制限を引き起こす慢性進行性の炎症性リウマチ疾患で、X 線基準を満たす体軸性脊椎関節炎(r-axSpA)とも呼ばれる強直性脊椎炎(AS)またはX 線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)と臨床的に定義されている2つのサブセットで構成される。
 また、約10~40%の患者が、2~10年の間にnr-axSpAからr-axSpAへ進行する。
 アッヴィは、nr-axSpAを対象としたP3相SELECT-AXIS 2試験のトップライン結果を既に発表しており、そのすべての結果をThe Lancetで公表している。試験結果は、14週時に国際脊椎関節炎評価会基準でベースラインから40%の改善(ASAS40)を達成した患者の割合は、プラセボ群と比較して、ウパダシチニブ15 mg群において有意に高いことを示している(ウパダシチニブ群45%、プラセボ群23%、p<0.0001)。
 また、14週時に、多重性を調整した副次評価項目14項目のうち12項目においてプラセボ群と比較して、統計学的有意性も達成された。
 安全性データについては、既知のウパダシチニブの安全性プロファイルと比較して、新たな安全性リスクは特定されなかったことが既に報告されている。
 14週目までに有害事象(AE)が発現した患者の割合は、両投与群で類似した結果となった(ウパダシチニブ群48%、プラセボ群46%)。
 nr-axSpAに対するECの製造販売承認は、ウパダシチニブがEUの全加盟国ならびにアイスランド、リヒテンシュタイン、北アイルランドおよびノルウェーにて承認されたことを意味する。
 昨今、ウパダシチニブは、既に承認されているASの効能・効果に関してもEUで添付文書の記載事項が更新され、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)で効果不十分であった活動性AS患者に関するデータが追加された。
 同更新は、bDMARDで効果不十分であった活動性AS患者を対象としたP3相SELECT-AXIS 2試験の結果、およびbDMARDによる治療歴がないAS患者を評価したP2/3相SELECT-AXIS 1試験の2年分の結果に基づいている。

◆Thomas Hudson, M.D.アッヴィsenior vice president of research and development兼chief scientific officerのコメント
 体軸性脊椎関節炎(axSpA)は、背部痛やこわばり、さらには脊椎への不可逆的な損傷を引き起こし得る疾患で、長年にわたり医療従事者や患者さんの治療選択肢は限られてきた。
 アッヴィは、客観的な炎症の徴候が認められNSAIDsで効果不十分であったnr-axSpAの成人患者さんに向けて、今回EUにて承認されたウパダシチニブをファースト・イン・クラスの治療選択肢として提供できることを誇らしく思う。
 ウパダシチニブは、nr-axSpAおよびASを含むaxSpA患者さんの治療薬として承認された最初かつ唯一のJAK阻害薬となる。

◆Filip Van den Bosch, M.D. SELECT-AXIS 2試験治験責任医師(ゲント大学病院リウマチ学科教授)のコメント
 欧州委員会によるnr-axSpA治療におけるウパダシチニブの承認により、nr-axSpAおよびAS患者群で有効性が示された重要かつ新たな治療選択肢がEUの医師に提供された。
 nr-axSpAとともに生きることは、多くの困難を伴い、患者さんの生活の質に重大な影響を及ぼし得ると思われる。活動性nr-axSpAの患者さんにとって、早期の有効な疾患管理は、健康アウトカムを改善するための鍵となる。

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