アストラゼネカは10日、リムパーザについて、高リスク早期乳がんに対する術後薬物療法として、EUで承認を取得したと発表した。対象は、術前または術後のいずれかに化学療法を受けた生殖細胞系列の BRCA遺伝子変異陽性(gBRCAm)かつヒト上皮成長因子受容体 2(HER2)陰性の高リスク早期乳がん成人患者への単剤療法および内分泌療法との併用療法。
欧州委員会による今回の承認は、2021年6月に The New England Journal of Medicine 誌に発表されたP3相OlympiA試験結果に基づいている。この適応におけるリムパーザに対して行われた、欧州医薬品庁の CHMP(欧州医薬品評価委員会)によるEUでの承認勧告に従うものだ。
同試験において、リムパーザは、プラセボと比較して浸潤性疾患のない生存期間(iDFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した。具体的には、浸潤性乳がんの再発、二次がん、または死亡リスクを 42%低下させた(ハザード比[HR]0.58;99.5%信頼区間[CI]0.41-0.82; p 値<0.0001)。
また、副次評価項目においては、プラセボと比較して全生存期間(OS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示し、死亡リスクを 32%低下させました(ハザード比[HR]0.68; 98.5% 信頼区間[CI]0.47-0.97; p 値=0.009)。
同試験におけるリムパーザの安全性および忍容性プロファイルは、過去の臨床試験のプロファイルと一貫していた。
乳がんは、世界中で最も多く診断されているがんであり、2020年に診断された患者さんは推定230万人に上る。全乳がん患者の約90%が早期乳がんと診断され、欧州では、最大 10%の患者にBRCA遺伝子変異が認められる。
2022年3月、リムパーザは生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がん患者に対する治療薬として、米国で承認された。
また、P3相 OlympiAD 試験の結果に基づき、化学療法歴のある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2 陰性の転移性乳がん患者に対する治療薬として、米国、EU、日本およびその他数多くの国々で承認されている。さらに、EU においては、局所進行乳がんも適応に含まれる。