住友ファーマの田口卓也常務執行役員営業本部長は、9日に開催されたWebでの「社長記者会見・個別質問会」で医薬通信社の個別取材に応じ、「ツイミーグ(2型糖尿病治療薬)、ラツーダ、ロナセンテープ(統合失調症)の新製品の早期最大化に注力する」考えを強調した。
本年4月1日に同社営業本部長に就任した田口氏は、国内医薬品事業の基本方針として「精神神経系、糖尿病領域で保有する薬剤の堅調な推移と早期拡大に加えて、アガルシダーゼベータBS(ファブリー病治療剤)の最大化」を掲げている。
その中でも、特に、ラツーダ、ロナセンテープ、ツイミーグの新製品3品目の早期最大化が、営業本部の最も大きな課題になっている。ラツーダは、発売して2年が経過し、コロナ禍ではあるが順調に処方を伸ばしており、双極性障害での伸長が目立つ。統合失調症の急性期については、今後のディテールが鍵を握る。
ロナセンテープは、コロナ禍直前に発売されて3年目を迎える。田口氏は、「コロナ禍で大変苦戦した。まだまだ訪問規制が厳しくて直接ドクターに会えないケースが多いものの、やっと認知が進んできて処方数がかなり上がって来ている」と分析する。
昨年6月に発売した既存の経口血糖降下剤とは異なる構造と2つの血糖降下作用をもつ経口血糖降下剤のツイミーグは、「全く新しい作用機序を有するのでドクターの関心が高い。だが、まだ投与制限があるため、その解除を待って本格的に処方を始めたいとするドクターが多く、今後の動向が注目される」
田口氏は、糖尿病領域の治療薬販売戦略として、「エクア(DPP4阻害薬)、メトグルコ(ビグアナイド系薬剤)のスタンダードな糖尿病治療薬を説明していく中で、エクアとメトグルコの合剤のエクメットやそれでも改善しない場合はツイミーグの提案」を明かす。豊富な種類の糖尿病治療薬を有する利点を活かした同社ならではの戦略だ。
本年12月31日に販売提携契約期間が満了して日本イーライリリーに移管する注射剤のトルリシティにも言及し、「売上高300億円の糖尿病治療薬なので、トルリシティの移管は国内事業にとって大きなマイナスである」と指摘。その上で、「マイナス分をツイミーグの拡大や新しい提携でカバーしていきたい」と訴求する。
コロナ禍によるディテール活動への影響については、「病院は、訪問規制が厳しいのでデジタルを中心にディテール活動を展開している。開業医は、第7波の中であってもコロナが流行し出した当初に比べてリアルでの面会が増えている」と説明する。
気になる今後のMR数の見通しは、「現在1050名であるが、従来の取り扱い製品、競合状況、医療機関のニーズを踏まえながら、適正人員を検討していく」考えを示した。
最後に、「ツイミーグ、ラツーダ、ロナセンテープの新製品の早期最大化に注力することで、治療に貢献していきたい」と抱負を述べた。