京都市・京都大学との肺がん早期診断・早期治療実態共同研究結で
アストラゼネカは28日、京都市と京都大学およびヘルステック研究所と共同実施している肺がんの早期診断・早期治療の実態を明らかにする共同研究結果を発表した。
同共同研究は、京都市におけるがん検診受診率や肺がん患者の治療パターン、予後などに関する行政医療データの解析・調査を目的としたもの。共同研究結果では、肺がん患者の実態として、手術を受ける患者の割合が増加しており、また2年以内の死亡率が減少していることが明らかになった。
これらの研究結果は、2022年6月28日付けでValue in Health Regional Issues( https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35777173/ )(電子版)に掲載された。
同共同研究は、肺がん領域における京都市民の健康増進や更なる医療の質向上を目指すべく、2021年5月に京都市と合意した覚書に基づいたもの。
今回、2013-2018年度に京都市で肺がんと診断され、治療を受けた4845名を対象に、肺がんの治療パターン、医療費、予後について解析・調査を行った。
解析期間の6年において研究対象患者の年齢平均値は、73歳から74歳へと推移していた。初回治療として手術を受けた患者の割合は、2013年度は35.2%であり、2018年度は39.6%であった。
また、薬物治療を受けた対象者の割合は2013年度の44.1%から、2018年度は37.6%と各年で上下しながら推移していた。肺がん患者における、手術、薬物療法、放射線療法それぞれの年間医療費の合計は2014年度から2018年度で経年的に増加傾向であったが、2年以内に死亡する患者の割合は2013年度の42.7%から2016年度の36.8%まで毎年減少していた。
同研究においては、2010年代における肺がん治療の変化に加えて、経年的な医療費の増加および生存割合の経年的な改善傾向が記述され、京都市における肺がん診療の実態を理解する上で重要なデータが示された。
◆松尾 恭司アストラゼネカ執行役員メディカル本部長のコメント
アストラゼネカでは「患者さんを第一に考える」を企業バリューのひとつとしてLung Ambition Allianceに参加し世界肺がん学会と共に肺がんの早期診断に取り組んでいる。
今回、肺がん患者さんの実態として手術を受ける患者さんの割合が増しており、また2年以内に死亡する割合が減少していることが示された。
今回の結果に加えて今後の更なる解析により、肺がんの早期発見・早期治療に寄与することで医療に関連するさまざまな課題解決に貢献できると期待している。
引き続き、本共同研究を通じた産学公の連携により、京都市民の皆さまの健康増進の一助となれるよう努めていきたい。
◆門川大作京都市市長のコメント
この度の研究は、市民の皆様にがん検診の有効性をお伝えするためにも大変重要なものである。アストラゼネカの御尽力・御協力に、深く感謝申し上げる。
この結果を踏まえ、より多くの市民の方々に検診を受けていただけるよう、引き続き産学公が連携した取組を進めていきたい。
本共同研究においては、既に京都市との間で研究期間の延長が合意されており、同市における肺がん検診の受診率や治療パターン、予後など行政医療データをさらに詳しく解析・調査してその結果を発表していく予定である。