小野薬品は30日、オプジーボについて、FDAが、食道扁平上皮がんのファーストライン治療薬として、同剤による2種類のレジメンを承認したと発表した。
対象は、PD-L1発現レベルにかかわらず、切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がん(ESCC)成人患者で、承認されたのは、オプジーボとフルオロピリミジン系およびプラチナ系薬剤を含む化学療法の併用療法およびオプジーボとヤーボイの併用療法の2種類のレジメン。
同社が提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が27日に発表したもの。
両承認は、ファーストラインのESCCを対象とした免疫療法薬として最大規模のP3試験で、オプジーボと化学療法の併用療法(321例)およびオプジーボとヤーボイの併用療法(325例)をそれぞれ化学療法(324例)と比較評価したP3相CheckMate-648試験の結果に基づいている。
今回の申請は、一刻も早く安全かつ有効な治療薬の患者への提供を目的としたFDAのリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムの下で審査された。
同試験においてオプジーボと化学療法の併用療法は、化学療法と比較して、副次評価項目であり階層的に検定された全無作為化患者における全生存期間(OS)(ハザード比 [HR] 0.74、95% 信頼区間 [CI]:0.61 – 0.90、P=0.0021)、および主要評価項目であるPD-L1陽性(1%以上)患者におけるOS(HR 0.54、95% CI:0.41 – 0.71、P<0.0001)の両方で、良好な結果を示した。
全無作為化患者におけるOSの中央値(mOS)は、オプジーボと化学療法の併用療法群で13.2カ月(95% CI:11.1 – 15.7)、化学療法群では10.7カ月(95% CI:9.4 – 11.9)であった。
PD-L1陽性(1%以上)患者におけるmOSは、オプジーボと化学療法の併用療法群で15.4カ月(95% CI:11.9 – 19.5)、化学療法群では9.1カ月(95% CI:7.7 – 10)であった。
階層的に検定された副次評価項目である全無作為化患者における無増悪生存期間(PFS)の中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で5.8カ月(95% CI:5.6 – 7.0)、化学療法群では5.6カ月(95% CI:4.3 – 5.9)でした(HR 0.81;95% CI:0.67 – 0.99、P=有意差なし)。あらかじめ計画された解析において、PFSの統計学的な有意差は認められなかった。
もう一つの主要評価項目であるPD-L1陽性(1%以上)患者におけるPFSの中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で6.9カ月(95% CI:5.7 – 8.3)、化学療法群では4.4カ月(95% CI:2.9 – 5.8)であった(HR 0.65;95% CI:0.49 – 0.86、P=0.0023)。
オプジーボとヤーボイの併用療法も、化学療法と比較して、副次評価項目であり階層的に検定された全無作為化患者におけるOS(HR 0.78、95% CI:0.65 – 0.95、P=0.0110)および主要評価項目であるPD-L1陽性(1%以上)患者におけるOS(HR 0.64、95% CI:0.49 – 0.84、P=0.0010)を改善した。
全無作為化患者におけるmOSは、オプジーボとヤーボイの併用療法群で12.8カ月(95% CI:11.3 – 15.5)、化学療法群で10.7カ月(95% CI:9.4 – 11.9)であり、PD-L1陽性(1%以上)患者におけるmOSは、オプジーボとヤーボイの併用療法群で13.7カ月(95% CI:11.2 – 17.0)、化学療法群で9.1カ月(95% CI:7.7 – 10)であった。
もう一つの主要評価項目であるPD-L1陽性(1%以上)患者におけるPFSの中央値は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で4.0カ月(95% CI:2.4 – 4.9)、化学療法群で4.4カ月(95% CI:2.9 – 5.8)であった(HR 1.02;95% CI:0.78 – 1.34、P=有意差なし)。
あらかじめ計画された解析において、PFSの統計学的な有意差は認められなかった。PD-L1発現レベルが1%以上の患者集団におけるPFSの中央値で統計学的な有意差がなかったため、全無作為化患者集団での階層的な検定は行われなかった。
オプジーボ単剤およびオプジーボとヤーボイの併用療法の「警告および注意」には、次の事象が含まれている:重度かつ致死的な免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎および免疫介在性肝毒性、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性腎炎および腎機能障害、免疫介在性皮膚関連副作用、その他の免疫介在性副作用、Infusion reaction、同種造血幹細胞移植(HSCT)の合併症、胎児毒性、および多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法にオプジーボを追加投与した際(比較対照試験以外では推奨されない)の死亡率の増加。
◆CheckMate-648試験共同筆頭著者で米国治験責任医師のJaffer A. Ajani米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター消化器腫瘍内科教授のコメント
本日の承認は、進行または転移性食道扁平上皮がんの多くの患者さんと腫瘍科医にとって喜ばしいニュースである。切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がんは治療が難しく、ファーストライン治療において生存期間を延長する可能性のある新しい治療選択肢が必要とされている。
CheckMate -648試験では、オプジーボによる2種類の併用療法が、化学療法と比較して生存ベネフィットを示し、PD-L1発現レベルにかかわらず使用できる新しい治療選択肢がもたらされた。
◆Adam Lenkowsky BMSシニアバイスプレジデント兼心血管疾患・免疫疾患・がん米国担当ゼネラルマネジャーのコメント
BMSでは、進行または転移性食道扁平上皮がんを含め、上部胃食道がんの多くの患者さんのニーズを理解しており、PD-L1発現レベルや組織型にかかわらず生存ベネフィットが実証された新しい治療選択肢をお届けすべく注力している。
本日の承認により、新たに診断された切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がん患者さんに対し、オプジーボと化学療法の併用療法と、免疫療法薬2剤による初めての治療選択肢となるオプジーボとヤーボイの併用療法という、免疫療法薬による2種類のファーストライン治療のレジメンを一度に届けられるようになった。上部胃食道がんにおいて、オプジーボによるレジメンの果たす役割がいっそう強化されるだろう。