住友ファーマは5日、Jazz社(本社:アイルランド)と、住友ファーマが創製し、ナルコレプシーを予定適応症として国内開発中の「DSP-0187」の日本、中国および一部のアジアを除く全世界における開発・販売に関する独占的なライセンス契約を締結したと発表した。
同剤は、住友ファーマが経口剤として開発中の選択的オレキシン2受容体作動薬で、オレキシンの欠乏によって生じるナルコレプシーの日中過眠や情動脱力発作を中心とした各症状を改善する可能性がある。
また、ナルコレプシー以外の特発性過眠症やその他の睡眠障害への適応も期待されている。
住友ファーマは、日本において、同剤の安全性、忍容性、薬物動態を評価するためのP1試験を2021年11月に開始した。同社は、同契約締結後も、同社テリトリー(日本、中国および一部のアジア)おける同剤の権利を保有する。
同契約に基づき、住友ファーマは、 Jazz 社に対し、同社テリトリーを除く米国、欧州を含む全世界において、独占的に本剤の開発・販売を行う権利を許諾する。
同契約締結の対価として、住友ファーマはJazz 社より、契約一時金として5000万米ドルを受け取る。また、住友ファーマは、同剤の開発の進捗に応じた開発マイルストンおよび売上収益の目標達成に応じた販売マイルストンとして総額で最大10億9000万米ドルを受け取る可能性がある。
さらに、同剤の売上収益に応じた2桁台前半の料率のロイヤリティを受け取る可能性がある。
◆木村徹住友ファーマ代表取締役専務執行役員のコメント
本剤は、中枢神経領域における高度な専門技術を生かして、当社が独自に創製した新規の低分子化合物である。睡眠障害に対する医薬品の開発と販売に確かな実績があり、長年睡眠障害を患う人々の生活改善のための治療法の研究開発に取り組むJazz社と提携できることをうれしく思う。
当社は、睡眠障害治療薬で大きな成功を収めているJazz社が、本剤を次の開発段階に進めていくうえでの最適なパートナーであると考えている。
◆ロバート・イアンノーネJazz社Executive Vice President、Global Head of Research and Developmentのコメント
オレキシン受容体の活性化は、睡眠障害の研究においてとても興味深い分野であり、既存薬による治療を補完できる可能性がある。
本剤のプロファイルから、当社は本剤がナルコレプシーやその他の睡眠障害治療に貢献する可能性があると確信している。
当社は、睡眠障害治療薬のリーディングカンパニーとして、消耗性の睡眠障害を患う人々に革新的な治療法を提供できるよう努めている。さらに、睡眠障害における当社の専門性を生かし、将来有望な本剤の治験を米国と欧州で実施できることをうれしく思う。
このたびの契約締結は、価値創造を可能とする開発化合物へ戦略的に投資するという当社の目標に合致したものであり、患者さんの治療を改善する可能性がある本剤を導入した当社の先見性を示すものでもある。