アストラゼネカ(本社:大阪市)は28日、「アンビション・ゼロカーボン」の実現に向けて、「日本におけるネットゼロ社会実現の加速に向けた環境整備に関する提言『アストラゼネカ白書』」を発表した。
AstraZeneca PLC (本社:英国)が2020年1月に発表した「アンビション・ゼロカーボン」は、2025 年までにグローバル規模で自社事業からの温室効果ガス排出量ゼロを実現するとともに、2030年までにバリューチェーン全体でカーボンネガティブ(排出量より削減量が多い状態)を達成するという野心的な目標だ。
さらに、AstraZeneca PLC では、2021 年 6 月、アンビション・ゼロカーボンを具現化すべく、英国のライフサイエンス産業と製造業を対象にした白書「Delivering net zero for UK life sciences and manufacturing Achieving AstraZeneca’s Ambition Zero Carbon in the UK」を作成し、カーボンネガティブの必要性を関係機関へ働きかけた。
こうした経緯から、アストラゼネカにおいてもアンビション・ゼロカーボンをアストラゼネカの世界共通のサステナビリティ目標と認識し、アストラゼネカ白書を作成した。
とりわけ、バリューチェーン全体でのカーボンネガティブの実現においては、業界を超え国内のあらゆるステークホルダーの協力が不可欠となるため、政府および企業への積極的な働きかけが必要とされる。
アストラゼネカ白書のアジェンダおよび提言の要旨は、次の通り。
1クリーンで調達しやすいエネルギー:電力部門の脱炭素化、電力部門以外の電化、および非電化部門の新技術実用化の早期実現が望まれる。
2電気自動車とその充電インフラ:現行の電気自動車導入目標の実効性を担保するための減税・補助金等の制度の充実化と、インフラのさらなる整備を行うことが望まれる。
3患者中心のネットゼロにむけたヘルスケアシステム:医療と健康にかかわる政策立案者が連携し、医療サービス全体での脱炭素化に向けた取り組み強化が望まれる。
4政策及び財源措置に関する長期的な道筋:脱炭素経済への移行を効果的に促進する経済的インセンティブの制度設計・導入の早期実現が望まれる。
5政府による市民の意識啓発と政策実行における強力なリーダーシップ:気候変動対策に関わる社会的便益の明確化による市民意識の啓発と、より強力な政府全体の政策実行体制の整備が望まれる。