日本初のコマンドセンター コロナ禍での病床管理の効率化等に寄与 GEヘルスケア・淡海医療センター

 GEヘルスケア(本社:東京都)と淡海医療センターは15日、昨年4月に稼働開始したコマンドセンターの成果実績について報告し、コロナ禍における病床管理の大幅な効率化などに寄与したことを明らかにした。
 GEヘルスケア・ジャパンでは、予防から診断、治療、経過観察・予後管理までをカバーする「プレシジョン・ヘルス」の実現を目指し、インテリジェント機器やデータ分析、ソフトウェア、サービス等を提供。国内に研究・開発、製造から販売、サービス部門までを持ち、顧客のニーズに応えつつ、日本が直面する医療課題の解決に取り組んでいる。
 日本で第一号となるコマンドセンターは、昨年4月より稼働を開始しており、以来、新型コロナウイルス感染症の最中における病床管理効率の大幅な上昇、新型コロナ患者数上昇に伴うタイムリーかつ的確な医療機関での対応、さらには医療現場における働き方改革に寄与するなど、様々な貢献を果たしている。今回発表したコマンドセンター稼働による成果のサマリーは、次の通り。

 新型コロナウイルス感染症が拡大する以前、2019 年度の一般病床稼働率は 89.5%に留まっており、拡大期の最中にある2020年においても 89.9%で推移していた。
 だが、4月にコマンドセンターが稼働を開始した2021年度の病床稼働率は 94.1%まで上昇し、淡海医療センターでは、高稼働率が新しい標準となる運用が始まっている。


 治療が終わった患者の退院が円滑に進んでいるかを表す指標であるDPCⅢ期にある患者数は、コロナ禍以前の2019年度と比較して月10名少なくなり、結果として、患者あたりの診療単価が6.2%向上している。


 病床を高稼働で運営する中でも、医療従事者(看護師)の残業時間は稼働前の2020 年と比較して2021年は、コロナ禍の最中にあっても44%削減(月当たり約 1035 時間)したという結果がでている。
 各看護師のスケジュールや労働量をリアルタイムに把握するデータ分析手法により、より効果的なワークシェアリングが院内で進んでいることが明らかになってきた。


 入院中に重症化が進む患者を早期に確定することで、一般病床から ICU・HCU への転棟件数が月平均で5人(17.2%)増加していることからも、医療を適切なタイミングで提供するよう貢献していることが分かる。
 誠光会は、淡海医療センターでのこの度の実績を踏まえ、2022年度よりコマンドセンターの地域レベルでの展開を進めている。
 滋賀県の湖南地域に所在するリハビリテーション病院や介護施設など複数の施設を包括するコマンドセンターの運用により、地域の医療連携を支援し、予防から検査、治療、予後のモニタリングに至るまで医療の全段階において、患者に必要とされる質の高い医療の提供を目指している。

◆北野博也誠光会理事長のコメント
 当法人では、県内の他施設に先がけ、『帰国者・接触者外来』や『地域外来・検査センター(PCR センター)』を設置するなど積極的に新型コロナウイルス感染症と向き合ってきた。
 当然、コロナ患者さんを受入れるための病床も設置しているが、これらの影響でコロナ以外の患者さんの入院をお待たせするなどご迷惑をおかけすることはしないという方針で運営している。
 実際には、コロナ専用病床を設置したことで一般病床が従来よりも43床少ない状態となったが、これまでと変わらない患者数を受入れることができている。
 間違いなく現場の業務量は増加しているが、医療従事者の残業時間は削減できており、生産性の向上も認められる。
 これらの成果は、コマンドセンター導入の効果であると言ってよいと思う。  
◆多田荘一郎GEヘルスケア・ジャパンの代表取締役社長兼CEOのコメント
 昨年、日本で初となるコマンドセンターの導入を支援させていただき、病床管理の全般的な効率改善を含め、コロナ禍という厳しい状況においても患者さんが求める医療の提供に貢献できたことを嬉しく思っている。
 病床管理の効率化などと併せて、看護師をはじめ施設における働き方改革にも寄与できたことも明らかとなり、日本の医療の課題としてもある貴重な医療資源のより効果的な活用に引き続き貢献できればと考えている。
 今後は、複数の施設を結ぶ地域単位でのコマンドセンターの活用も進めていただいており、地域の医療連携により一層の貢献できるよう取り組んでいく。

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