武田薬品は14日、ゴーシェ病患者とその家族と考えるより暮らしやすい環境づくりに向けたワークショップを日本ゴーシェ病の会の協力を得て実施すると発表した。
ゴーシェ病は、ライソゾーム病(LSD)として知られる遺伝性の希少疾患の一種で、フランスの医師、Philippe Gaucher(ゴーシェ)によって1882年に発見された。
先天的な酵素(グルコセレブロシダーゼ)の活性低下あるいは欠損により、糖脂質(グルコセレブロシド)が組織に蓄積し、肝脾腫、貧血、血小板減少、骨症状、神経症状などが主な症状となるスフィンゴ糖脂質蓄積症の1つである。
同ワークショップは、武田薬品として初めて、文字とイラストを使って記録するグラフィックレコーディングという手法を用いて実施された。
グラフィックレコーディングは、話の内容を俯瞰的、そして視覚的にとらえることができ、議論の活発化につながることが利点で、ビジネスの場でも用いられている会議の手法だ。
ワークショップには、日本ゴーシェ病の会の会員患者とその家族3名に加え、同社からも1名参加した。当日は、症状発現から診断・治療、普段の生活(症状が現れてもゴーシェ病とはなかなか診断されず、その後診断され、ゴーシェ病とともに生活する)の各段階での困りごととその困りごとを支援できるアイデアを書いたカードを複数用意。各アイデアを「とてもうれしい」から「特に必要ない」までの5段階に手元で並べてもらいながら、参加者の意見を聞いた。
「コロナ禍で人が直接集まる機会が少なくなり、患者会の集まりもできない状況で、同じ疾患に限らず、仲間が集まることができる楽しいイベントを開催してほしい」など、家にとどまらず外に出て日々楽しく暮らせるアイデアが高い評価を得た。
参加者からは、「今回のような機会があると、普段感じていても言葉にしないことを言語化できるので、とても良い時間になったと感じる。患者だけでなく、家族の人とお話しできたのも良かった。今後もこうしてたくさんの人と話す機会が増えると良いなと思う」、「イラストがあるとこれまでのアイデアを振り返りやすく、新しいアイデアを思いつきやすかった気がする。イラストのおかげで楽しみながらワークショップに参加することができた」などの声が寄せらた。
武田薬品は、「治療薬の創出にとどまらず、希少疾患を取り巻くエコシステムの形成・改善を通じて、患者とその家族に価値提供できる優れたパートナーとなることが重要である」との考えを示しており、これらの意見、アドバイスをもとに、患者とその家族の役に立てる施策を実施していく。