塩野義製薬は13日、開発中の経口新型コロナ治療薬「S-217622」の動物実験における催奇形性についての昨日からの一部報道内容に対して、「治療薬の承認審査の可否に影響を与えるものではない」との認識を発表した。その根拠として同社は、次の4つの見解を示している。
1、同該非臨床試験は、医薬品開発において規制上求められる安全性試験の一つであり、同結果は臨床における投与量、想定血中濃度、投与期間を超える条件下で検出された所見である。
2、通常、臨床試験においては、妊婦中や授乳中の女性、妊娠が疑われる女性は対象から除外される。同治療薬の臨床試験においても同様の対応をとっている。
3、同該非臨床試験の結果については、治験実施医療機関に速やかに報告するとともに、被験者にも説明の上で臨床試験参加者に同意を得ている。
4、同該非臨床試験の結果に対する臨床的意義や妊婦に対する適応については、実施中の承認審査において総合的に判断され、添付文書への記載内容が決定されることになる。
これらを踏まえ、塩野義製薬では、「同件がS-217622の承認審査の可否に影響を与えるものではない」としている。
塩野義製薬は、同件の報道の経緯についても明らかにしている。それによると、4月4日に一部通信社から同社に対して、「同治療薬の非臨床試験において、胎児における骨格形態異常が生じていることを他の取材を通じて確認しているため、事実確認と本件に関する見解の提示」の要望を受けた。
4月6日に塩野義製薬より、問い合わせ内容が事実であることに加え、当該非臨床試験の結果を踏まえた臨床における取扱いに対する見解が説明された。
なお、当該非臨床試験の結果は、2021年12月に厚生労働省および独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告済みであり、2022年2月25日付けで提出した承認申請資料にも含まれている。今回の報道に際して新たに得られたデータではない。
同社では、引き続き、PMDAによる審査に対応するとともに、現在実施中の臨床試験に取り組み、安全性および有効性の情報収集に努めていく。