小野薬品は7日、オプジーボと化学療法の併用療法について、FDAが切除可能な非小細胞肺がんの特定の成人患者の術前補助療法として承認したと発表した。対象は、切除可能(腫瘍4cm以上もしくはリンパ節転移陽性)な非小細胞肺がん(NSCLC)成人患者。
併用療法は、オプジーボ360 mg(点滴静注)とプラチナ製剤を含む化学療法2剤を3週間間隔で3回投与する。
提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が4日に公表したもの。今回の申請は、一刻も早く安全かつ有効な治療薬を患者に届けることを目的とするFDAのリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムの下で承認された。
審査は、オーストラリア、カナダおよびイギリスの保健当局による同時審査が可能であるFDAのProject Orbisイニシアチブの下でも実施されており、現在もこれらの国では審査が継続している。P3相CheckMate-816試験のEFSデータは、4月に開催される2022年米国癌学会 年次総会で発表される。
オプジーボと化学療法の併用療法は、PD-L1発現レベルにかかわらず、承認されている。切除可能なNSCLCの術前補助療法として、免疫療法薬を含む併用療法による最初の肯定的なP3試験であるCheckMate -816試験に基づいている。 主要評価項目は、盲検下独立評価による無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)等で、その他の有効性の評価項目は全生存期間(OS)であった。
同試験では、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法群(179例)をプラチナ製剤を含む化学療法単独2剤群(179例)と比較評価した。
同試験において、オプジーボと化学療法の併用療法群による術前補助療法は、化学療法単独群と比較して、統計学的に有意なEFSの改善を示し、病勢進行、再発または死亡のリスクを37%低減した(ハザード比 [HR] 0.63;95% 信頼区間 [CI]:0.45 – 0.87;P=0.0052)。
EFSの中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で31.6カ月(95% CI:30.2 – 未達 [NR])、化学療法単独群では20.8カ月であった(95% CI:14.0 – 26.7)。
また、pCR率は、オプジーボと化学療法の併用療法群で24%(95%CI:18.0 – 31.0)、化学療法単独群では2.2%(95% CI:0.6 – 5.6;推定治療差21.6; 95%CI:15.1 – 28.2; P <0.0001)であった。
予め計画されたOSの中間解析の結果、HRは0.57(95%CI:0.38 – 0.87)であり、統計学的な有意性の境界を超えなかった。
オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が含まれている:重度かつ致死的な免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎および免疫介在性肝毒性、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性皮膚関連副作用、腎機能障害を伴う免疫介在性腎炎、その他の免疫介在性副作用、Infusion reaction、同種造血幹細胞移植(HSCT)の合併症、胎児毒性、および多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法にオプジーボを追加投与した際(比較対照試験以外では推奨されない)の死亡率の増加 。
◆CheckMate -816試験の治験担当医師、ダナ・ファーバーがん研究所の胸部腫瘍Loweセンター臨床部長Mark Awad(M.D.、Ph.D)のコメント
切除可能なNSCLC患者さんは再発率が高く、術前の使用によって手術による治療の成功率を高め、再発リスクを抑えるという目標を支援する新たな治療選択肢が必要とされている。
プラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法によるオプジーボの承認は、切除可能なNSCLCの治療における転換点である。
この承認により、手術前の患者さんの術前補助療法として免疫療法薬と化学療法の併用療法の使用が可能になる。本日の発表は、NSCLCスクリーニングと早期発見率を高め、患者さんが医療提供者と治療選択肢を相談する必要性を高めるものである。
◆BMS心血管疾患・免疫疾患・がん米国担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーAdam Lenkowsky氏のコメント
ブリストル マイヤーズ スクイブは、がんの早期段階における免疫療法薬の使用において革新的なサイエンスをリードしており、患者さんにこれらの選択肢をお届けすべく注力している。
本日の承認は、そのような我々のコミットメントを裏付けるとともに、オプジーボを含む治療法が肺がんで最も多い型のNSCLCに果たす役割を拡大し、より早期の段階でベネフィットを得られる可能性を患者さんにもたらす。