塩野義製薬は25日、新型コロナ治療薬として開発中の経口抗ウイルス薬「S-217622」について、同日付で日本国内における条件付き早期承認制度の適用を希望する製造販売承認申請を行ったと発表した。
P2/3相臨床試験のうちPhase 2b partの主要評価項目に関する解析が完了し、申請したもの。主要評価項目は、①4日目(3回投与後)におけるSARS-CoV-2のウイルス力価のベースラインからの変化量および②COVID-19の12症状合計スコアの初回投与開始から120時間(6日目)までの単位時間あたりの変化量。
現在実施中のP2/3相臨床試験のうち、Phase 2b partは、軽症/中等症の新型コロナウイルス感染者428例(日本:419例、韓国:9例)が無作為化割付けされたプラセボ対照二重盲検比較試験である。
同試験は、オミクロン株流行後の感染者を中心に評価がなされた試験であり、S-217622(低用量、高用量の2用量)を1日1回、5日間経口投与した際の抗ウイルス効果および臨床症状の改善効果を確認することを主目的に実施された。
結果に関する要約は次の通り。
◆ 抗ウイルス効果
・同治療薬投与により、両用量群ともにプラセボ群と比較して有意に優れた抗ウイルス効果を示した
4日目(3回投与後)において有意にウイルス力価を減少(主要評価項目達成)
上記時点におけるウイルス力価陽性患者の割合は両用量群ともに10%未満であり、プラセボ群との比較でPhase 2a partの成績を上回る減少率
◆ 症状改善効果
・ COVID-19の12症状合計スコアの初回投与開始から120時間(6日目)までの単位時間あたりの変化量は、プラセボ群と比較して改善方向に推移したものの、統計学的に有意な差は認められなかった(主要評価項目を達成せず)
・ 12症状のうち、同試験で集積した集団で特徴的な症状であった呼吸器症状[鼻水または鼻づまり,喉の痛み,咳,息切れ (呼吸困難)]の合計スコアにおいては、両用量群ともに有意な改善効果を確認した
◆ 安全性
・ 今回の解析時点においては、Phase 2a partの結果と同質であり、新たに懸念される有害事象等は認められなかった
塩野義製薬は、一日も早く同治療薬を提供できるよう、同試験の更なる追加解析データを速やかにPMDAへ提出する。並行して、進行中の軽症/中等症の新型コロナウイルス感染者を対象としたPhase 3 part(目標症例数:1260例)、無症候/軽度症状のみ有するSARS-CoV-2感染者を対象としたPhase 2b/3 part(目標症例数:300~600例)における評価を加速し、結果が得られ次第、速やかに提出する。
なお、同件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響は、今後、状況に応じて精査する。