小野薬品は15日、オプジーボとカボメティクスの併用療法について、進行腎細胞がんのファーストライン治療を対象としたP3相CheckMate-9ER試験の2年間の追跡調査で持続的な生存ベネフィットを示したと発表した。同社と提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が14日(米国現地時間)に公表したもの。
同追跡調査(最短25.4カ月;中央値32.9カ月)の解析では、進行腎細胞がん(RCC)のファーストライン治療において、オプジーボとカボメティクスの併用療法が、スニチニブと比較して、持続的な生存および奏効ベネフィット、並びに健康関連の生活の質(HRQOL)の改善を示した。
これらの最新のデータは、2月17日~19日に開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)2022年泌尿器がんシンポジウムで発表される。
同追跡調査において、オプジーボとカボメティクスの併用療法群(323例)は、スニチニブ群(328例)と比較して、引き続き良好な全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)および完全奏効(CR)率を示した。新たな安全性シグナルは認めらなかった。全患者集団の結果は次のとおり。
・OS:OSの最終解析では、オプジーボとカボメティクスの併用療法群は、スニチニブ群と比較して、引き続き、OSの中央値(併用療法群37.7カ月vsスニチニブ群34.3カ月)で意義のある改善を示し、死亡リスクを30%低減した[ハザード比(HR):0.70;95% 信頼区間(CI):0.55 – 0.90]。
・PFS:PFSベネフィットは維持され、併用療法群は、スニチニブ群と比較して、PFSの中央値を2倍に延長した(併用療法群16.6カ月 vs スニチニブ群8.3カ月;HR 0.56;95% CI:0.46 – 0.68)。
・ORRおよびDOR:ORRベネフィットは維持され、併用療法群は、スニチニブ群と比較して、2倍近くのORRを示した(55.7% vs 28.4%)。DORの中央値は、スニチニブ群の15.1カ月と比較して、併用療法群で23.1カ月であり、奏効期間もより持続的であった。
・CR:CR率は、併用療法群で12.4%、スニチニブ群では5.2%で、2倍以上を示した。
・安全性:グレードにかかわらず、治療に関連する有害事象(TRAE)が、併用療法群(320例)の97.2%、スニチニブ群(320例)の93.1%に認められた。グレード3以上のTRAEは、併用療法群で60.5%%、スニチニブ群で54.1%であった。
さらに、臓器部位ごとの標的病変における奏効度の探索的解析では、併用療法群は、スニチニブ群と比較して、患者のより高い割合で腫瘍の縮小ベネフィットが認められた;肺臓(90.5% vs 76.0%)、リンパ節(88.4% vs 72.6%)、腎臓(89.0% vs。71.6%)、肝臓(72.7% vs 53.8%)および骨(85.2% vs 65.0%)の標的病変。
CheckMate -9ER試験の中央値32.9カ月間の追跡調査で実施した個別解析において、オプジーボとカボメティクスの併用療法群で、引き続き、臨床的に意義のあるHRQOLのベネフィットが報告された。
HRQOLスコアは、併用療法群で経時的に改善または維持されたが、スニチニブ群ではスコアの低下が認められた。さらに、併用療法群では、特に治療により発症したと思われる副作用がスニチニブ群よりも48%低くなった。
これらの探索的アウトカムは、腎臓がんに特化した生活の質ツールであり、がん治療機能評価の基準である腎臓がん症状指標(FKSI-19)およびEQ-5D-3Lを用いて評価された。
◆ダナ・ファーバーがん研究所の泌尿生殖器腫瘍ランクセンター長、ハーバード大学医学大学院Jerome and Nancy Kohlberg医学教授のToni Choueiri(M.D.)氏のコメント
オプジーボとカボメティクスの併用療法を評価するCheckMate -9ER試験の最新データで、この併用療法が有効性ベネフィットのさらなる根拠を示しただけでなく、患者報告による生活の質の良好なアウトカムをもたらしたことは、進行腎細胞がんのファーストライン治療の患者さんにとって意義がある。
臨床医として、我々は常に、より多くの患者さんが生活の質を損なうことなく病気をコントロールするのに役立つ治療法を探している。
◆BMS泌尿生殖器がん領域のバイスプレジデント兼開発プログラム責任者のDana Walker(M.D.、M.S.C.E.)氏のコメント
CheckMate -9ER試験のこれらの解析結果は、免疫療法薬とチロシンキナーゼ阻害剤の併用療法レジメンにより恩恵を得られうる進行腎細胞がん患者の重要なファーストライン治療法として、オプジーボとカボメティクスの併用療法を支持する追加の臨床的根拠を提供している。
これらの結果は、研究開発へのアプローチの協働的な性質を例示し、より多くの患者さんがより良い、より持続的な予後をもたらすのに役立つために、私たちの治療法が潜在的に補完的な作用メカニズムとどのように連動するかを究明するために、ヘルスケア環境下でいかに取り組んでいるかを示している。
◆Exelixis社製品開発部門・メディカルアフェアーズ部門のエグゼクティブ バイス プレジデント兼最高医学責任者のVicki L. Goodman(M.D.)氏のコメント
より長期の追跡調査において持続的かつ良好な有効性および生活の質の改善が示されたCheckMate-9ER試験におけるこれらの追加のデータがASCO GUで発表されることを嬉しく思う。これらの追加データは、進行腎細胞がん患者のファーストライン治療法の選択肢としてカボメティクスとオプジーボの併用療法の価値をさらに示している。
BMSとの強力な共同作業の集大成であるCheckMate -9ER試験の肯定的なデータは、治療が困難ながん患者さんの治療法を特定するための継続的な旅において、カボメティクスをベースとした追加のレジメンを推進するという私たちの取り組みを強化する。