ファイザーは10日、経口新型コロナ治療薬「パキロビッド」(一般名:ニルマトレルビル錠/リトナビル錠)の日本での特例承認を取得したと発表した。同剤は、1月14日に厚労省に製造販売承認を申請したもの。昨年12月24日に特例承認されたMSDの「ラゲブリオ」に続く2剤目の経口新型コロナ治療薬となる。
なお、厚労省とファイザーは、2月1日に同剤200万人分を日本に供給する最終合意書を締結している。
ニルマトレルビル は、ファイザーが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を標的に創製した新規化合物で、SARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(3CLプロテアーゼ)を阻害することでウイルスの複製を抑制する。一方、リトナビルはSARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性はなく、ニルマトレルビルの代謝を阻害し、その濃度を増加さる。
日本も参加している国際共同P2/3相EPIC-HR試験では、外来治療の対象となる重症化リスクの高いCOVID-19患者において、同剤がプラセボと比較して入院または死亡のリスクを89%(症状発現から3日以内)および88%(症状発現から5日以内)減少させるた。
また、有害事象の発現割合は同剤(23%)とプラセボ(24%)と同程度であり、おおむね軽度であった・
ファイザーは、すべての人がパキロビッドに公平にアクセスできるよう安全で有効な経口抗ウイルス薬をできるだけ早く、適正な価格での提供を目指している。
同剤の使用が許可または承認された場合、全世界で公平なアクセスを推進するために、パンデミック下では各国の所得に基づく段階的な価格で経口治療薬を提供する。高中所得国は、低所得国より高い価格になる。
またファイザーは、受託製造の可能性の模索を含め、経口治療薬の製造および供給支援のための投資を行う。現時点で、2022年中の製造可能量を8000万人分から1億2000万人分に増加した。すでに複数の国と事前調達契約を締結しており、100を超える世界中の国と二国間協議を開始している。
さらに、世界人口の約53%を構成する低所得国および中所得国95ヵ国における本剤へのアクセス拡大を目的に、規制当局の許可または承認を前提に、医薬品特許プール(Medicines Patent Pool)とライセンス契約を締結した。
◆石橋太郎ファイザーR&D合同会社社長のコメント
「SARS-CoV-2の3CLプロテアーゼを阻害し、COVID-19が重症化して入院および死亡に至るリスクを軽減する経口治療薬パキロビッドの特例承認が得られたことを嬉しく思う。
医療従事者、厚生労働省および医薬品医療機器総合機構と連携し、臨床試験および製造販売後調査で本剤の安全性と有効性に関する情報を引き続き収集し、適正使用のための情報を発信していく。