ファイザーは14日、新型コロナ傾向治療薬「PF-07321332/リトナビル錠」について、日本で特例製造販売承認を申請したと発表した。
今回の申請は、医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認を視野に入れたもので、日本も参加している国際共同P2/3相EPIC-HR試験の結果に基づくもの。すでに一部の非臨床試験、品質および臨床試験に関する資料を提出している。
PF-07321332は、新型コロナ感染症の治療を目的に創製された経口薬で、ウイルスの増殖に必要な酵素であるSARS-CoV-2のメインプロテアーゼの作用を阻害するよう設計されている。
低用量リトナビルは、PF-07321332の代謝(分解)を遅らせ、ウイルスに作用する濃度を長時間体内で維持するために併用する。リトナビルは、他の抗ウイルス薬でも代謝を遅らせる目的で併用されている。
国際共同P2/3相EPIC-HR試験では、外来治療の対象となる重症化リスクの高い新型コロナ感染症患者において同剤がプラセボと比較して入院または死亡のリスクを89%(症状発現から3日以内)および88%(症状発現から5日以内)減少させた。
また、有害事象の発現割合は同剤(23%)とプラセボ(24%)と同程度で、おおむね軽度であった。
ファイザーは、昨年12月17日、規制当局の承認が得られた場合、200万人分の治療薬を日本に供給することで日本政府と合意したと発表している。
ファイザーは、すべての人がリトナビルに公平にアクセスできるように、安全で有効な抗ウイルス薬をできるだけ早く、適正な価格で提供することを目指している。
同剤の使用が許可または承認された場合、全世界で公平なアクセスを推進するために、パンデミック下では各国の所得に基づく段階的な価格で経口抗ウイルス薬を提供する。高中所得国は、低所得国より高い価格になる。
また、ファイザーは、受託製造の可能性の模索を含め、経口抗ウイルス薬候補の製造および供給支援のための投資を行う。すでに複数の国と事前調達契約を締結しており、100を超える世界中の国と二国間協議を開始している。
さらに、世界人口の約53%を構成する低所得国および中所得国95ヵ国における同剤へのアクセス拡大を目的に、規制当局の許可または承認を前提に、医薬品特許プール(Medicines Patent Pool)とライセンス契約を締結ている。
◆石橋太郎ファイザーR&D合同会社社長のコメント
未だ世界が新型コロナウイルス感染症の危機にあり、多くの尊い命が失われている中、感染症を予防するワクチンに加えて、新型コロナウイルス感染症が重症化して入院したり、亡くなったりするリスクを軽減できる可能性のある経口抗ウイルス薬は重要な治療選択肢のひとつになると考えている。