多発性硬化症治療薬開発で第5回日本医療研究開発大賞/担当大臣受賞  田辺三菱製薬

左から田辺三菱製薬千葉健治フェロー、同上野裕明社長、小林鷹之 健康・医療戦略担当大臣、DM三井製糖ホールディングス森本卓社長、タイショーテクノス佐々木重夫開発本部長

 田辺三菱製薬は27日、多発性硬化症治療薬「イムセラ/ジレニア」(フィンゴリモドの開発塩酸塩)の開発により、第5回日本医療研究開発大賞/健康・医療戦略担当大臣賞を受賞し、24日開催の表彰式で授与された発表した。
 日本医療研究開発大賞は、医療分野の研究開発の推進に多大な貢献をした事例に関して、功績をたたえることにより、国民の関心と理解を深めるとともに、研究者等のインセンティブを高めるための賞で、2017年より表彰が行われている。
 その中で、健康・医療戦略担当大臣賞は、特に顕著な功績が認められる事例に対して、毎年1件決定される。
 今回の受賞概要は、次の通り。
◆賞名:健康・医療戦略担当大臣賞
◆受賞者名:田辺三菱製薬、DM三井製糖ホールディングス
◆タイトル:多発性硬化症治療薬フィンゴリモド塩酸塩の開発
◆受賞のポイント:冬虫夏草(生薬)由来の天然物を元に、日本発・世界初の多発性硬化症の経口治療薬を開発し、ブロックバスターとして世界中で約20万人の患者の治療に貢献した。

 田辺三菱製薬は、故藤多哲朗京都大学名誉教授、DM三井製糖ホールディングスとともに、古来中国で秘薬として用いられてきた冬虫夏草の類縁菌を培養し活性成分の分離精製、同天然物をリードとした化学修飾を行い多発性硬化症治療薬フィンゴリモド塩酸塩の基本構造を創った。
 多発性硬化症とは、本来は病原体を攻撃するリンパ球が自分自身の神経系(脳や脊髄等の神経線維を包むミエリン鞘)を攻撃し炎症を引き起こす疾患で、同治療薬フィンゴリモドは、リンパ球の体内循環を制御し、神経系の破壊を抑制する(今回の受賞のポイントとなる新規作用機序)。
 日本発・世界初の経口治療薬であり、世界規模での多発性硬化症治療に大きく貢献している。
 イムセラ/ジレニアは、これまでに、日本薬学会創薬科学賞や井上春成賞、発明協会発明賞、産学官連携功労者表彰 科学技術政策担当大臣賞、大河内記念賞、日本産業技術大賞 内閣総理大臣賞(当賞の医薬品の受賞はフィンゴリモド塩酸塩が初)など、数多くの賞を受賞。
 独創的で利便性に優れた医薬品として、世界の多発性硬化症の治療と学術の進歩、産業の発展に大きく貢献していることが評価されている。
 

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