ロシュは、ミスマッチ修復(MMR)タンパクを検出する免疫組織化学染色4 項目について、12 月17日にキイトルーダのコンパニオン診断薬として製造販売承認取得した。
細胞分裂の過程において、DNAが複製されるときに一定の確率で複製エラーが発生するが、細胞にはこのエラーを修復するミスマッチ修復(mismatch repair:MMR)機能が備わっている。
だが、この MMR 機能が欠損すると、DNA複製時のエラーが修復されず蓄積され、癌化する場合がある。こうした癌細胞では、マイクロサテライト(ゲノム上に存在する1塩基から数塩基の反復配列)が通常と異なる反復回数を示しているため、「マイクロサテライト不安定性(MSI-High)固形癌」と呼ばれる。
今回、ロシュが承認を取得したのは、免疫組織化学染色法(IHC法)によりがん組織中のミスマッチ修復に関与するタンパク、MLH1、PMS2、MSH2、MSH6 の発現状況を調べる体外診断用医薬品4品目だ。
これら4品目により MLH1、PMS2、MSH2、MSH6 を検出することで、MMR 機能欠損(dMMR)判定検査として用いられる。全てのタンパクが発現していれば pMMR(ミスマッチ修復機能欠損なし)、いずれか一つでも消失していれば dMMR(ミスマッチ修復機能欠損あり)と判定される。
IHC法のdMMR判定検査としては国内初の体外診断用医薬品であり、「がん化学療法後に増悪した進行・再発のマイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」、「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」におけるキイトルーダの適応を判定するための補助に用いられる。キイトルーダは、MSD が販売するPD-L1を選択的に阻害する免疫チェックポイント阻害剤である。