ベトナムで遺伝性血管性浮腫に関する支援事業開始  武田薬品

 武田薬品は7日、ベトナムにおける遺伝性血管性浮腫の診断方法の確立・治療の強化、ガイドライン策定の支援事業を開始したと発表した。
 同事業は、国立国際医療研究センターが主体となって実施する厚労省より委託された令和3年度医療技術等国際展開推進事業で、同社が公募に応募し、採択され、研修実施機関として受託し実施するもの。
 医療技術等国際展開推進事業に採択され、研修実施機関として受託するのは製薬企業として武田薬品が初めて。
 HAEは腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患だ。HAEは世界中で5万人に1人が罹患していると推定されている。
 日本には2000人から3000人の患者が存在すると推定されている。だが、この疾患に対する日本での認知度の低さから診断されている患者は約450名に留まっており、未診断の患者が多くいると考えられる。
 ベトナムでは、診断されている患者は約50名(ベトナム唯一のHAE診療医を有する施設、バックマイ病院の患者数)に留まっており、推計される患者数(約2000名)に対して約2.5%と低く、多くの患者が未診断の状況と推測される。
 同事業では、武田薬品は日本のHAE専門医師と連携し、ベトナム・ホーチミン市の喘息・アレルギー・臨床免疫学会の協力を得て、ベトナムの主要病院の医療従事者に対してのHAEの検査・診断技法の講義、HAEガイドラインの作成などを行う。
 同社は、同事業によりベトナムにけるHAEの診断が促進され、患者が適切な治療を受けられるよう尽力していく。ベトナムにおける遺伝性血管性浮腫の診断方法の確立・治療の強化、ガイドライン策定の支援事業の概要は、次の通り。

(1)事業の目的
・検査・診断技法(血清C4測定、C1インヒビター活性測定)の確立
・HAE診療の中核拠点(Center of Excellence: CoE)構築
・主要都市部とのフォローアップ体制整備による診断率の改善
・ベトナム版HAE診療ガイドライン策定
・新規治療薬の販売承認取得、保険償還、治療の均てん化を通じた患者アウトカムの改善
・他地域、他疾患への横展開の必要性を日本並びにアジアの関係者に発信し、当事業をアジア地域のHAEならびに希少疾患治療エコシステム創出の触媒とする

(2)事業の期間 最長3年(2年目、3年目は再度申請)

◆初年度
・ベトナムの国民・医療従事者に対する疾患啓発と医療従事者の能力強化
◆2年目以降
・検査技法と適切な診断基準(血清C4測定、C1インヒビター活性測定)に基づく診断技法の確立
・HAE診療の中核拠点(Center of Excellence)の構築
・中核拠点を中心とした医療機関の連携体制の確立と診断率の向上
・現地版HAE診療ガイドラインの策定開始

◆岩下圭二武田薬品ジャパン ファーマ ビジネス ユニット医療政策・マーケットアクセス統括部部長のコメント
 本事業が医療技術等国際展開推進事業に採択されたことを光栄に思う。当社のグループ会社であるTakeda Pharmaceuticals (Asia Pacific) Pte. Ltd.は、2018年にベトナム保健省と覚書を結んでおり希少疾患の診断・治療の改善のための活動をすでに展開している。本事業の開始によりベトナムでのHAEの診断が加速されることを期待する。

◆Ho Chi Minh City’s Society of Asthma and Allergy and Clinical Immunology のPresidentのAss. Prof. Le Thi Tuyet Lan氏のコメント
 現在未診断の患者さんが多い疾患であるHAEに関する能力を構築するためのベトナムへの支援に感謝する。
 日本の専門家から学んで、ベトナムのHAE患者さんにより良い未来を提供できることを期待している。

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