新型コロナ治療薬開発 米国・カナダより助成金獲得  アンジェス

 アンジェスは9日、同社とカナダのバイオ医薬品企業のVasomune社が共同開発を進める新型コロナ治療薬AV-001について、米国国防総省から医療研究プログラムにおけるClinical Trial Award として、最大640 万米ドルの助成金を受賞したと発表した。同受賞は、2020 年8 月に続く受賞となる。 
 また、新型コロナ治療薬開発に対するカナダ政府の継続的な支援の一環として、NRC IRAP(the National Research Council of Canada Industrial Research Assistance Program)より最大280万加ドルの資金援助を受けることも公表した。
AV-001 は、血管内皮細胞表面に最も多く発現する膜貫通型タンパク質であるTie2 受容体を標的とした新規治験薬だ。トロントのサニーブルック病院で発見・デザインされたもので、アンジェスとVasomune 社の共同開発契約に基づき臨床試験が進められている。
 アンジェスとVasomune 社は、米国国防総省およびカナダ政府の力強いサポート受けて、AV-001の臨床開発を加速させていく。
 なお、助成金については、本年3月にVasomune社が National Research Council を通じてカナダ政府より助成金を受領。また、2020年9 月にも、米国防総省から280万ドルの医療研究プログラム(PRMRP)助成金を獲得している。
 アンジェスは、Vasomune 社が米国及びカナダにおいて獲得した助成金について、同社の開発費負担分に応じて同社から受領し、2021年第3四半期連結累計期間に営業外収益の補助金収入に3179万2000円を計上している。
 今後Vasomune 社が受領する助成金についても、アンジェスの開発費負担分に応じて受領し、補助金収入に計上する予定だ。
米国政府からの助成金は、PRMRPから受けており、2021年9月1日より有効となっている。
 AV-001の臨床開発プログラムは、招待された申請者全体の13.8%だけが助成金の推薦を受けるという厳格な2段階のピアレビューシステムにより、申請スコアが「Excellent」(1:最高~5 の尺度で1.6)となった。
 今回のPRMRP受賞による資金は、重度の新型コロナ感染の入院患者を対象としたAV-001 の前期P2試験に活用される。
 一方、カナダNRC IRAP の助成金は、当初の120 万ドルが2021 年8 月25 日に修正され、2021年~2022 年の期間で金額が増加し、合計280 万ドルになった。
 NRC IRAP プログラムからの資金は、P1試験、およびカナダ保健省への臨床試験申請に必要なその他の試験のために活用される。

◆Vasomune社社長兼CEO のDouglas A. Hamilton氏のコメント
 米国国防総省の議会主導医療研究プログラムであるPRMRP およびNRC IRAP プログラムからの資金援助により、AV-001の臨床開発を加速させることができて大変感謝している。前臨床試験のデータでは、AV-001 の作用機序が、変異株を含む新型コロナウイルス感染症の死亡率および罹患率を減少させる可能性を示唆している。

◆山田英アンジェス社の代表取締役社長兼CEOのコメント
 当社は、新型コロナウイルス感染症に対する戦略的アプローチとして、重症の新型コロナ感染患者さんの治療のためのAV-001と感染予防用ワクチンの2軸で開発を進める。
 今回のAV-001の臨床開発を推し進めるための助成金に大変感謝している。

タイトルとURLをコピーしました