武田薬品は27日、固形がんに対する同種ガンマ・デルタT細胞療法の開発加速を目的にGammaDelta Therapeuticsを買収したと発表した。
今回の買収により、武田薬品は、GammaDelta 社の同種可変デルタ 1 (Vδ1)ガンマ・デルタ(γδ)T 細胞療法プラットフォームを取得する。同プラットフォームには、血液由来および組織由来のプラットフォームと開発初期段階の細胞療法プログラムが含まれる。
武田薬品は、調整を前提として、事前交渉により定められた契約一時金、および開発、申請、承認などのマイルストンを支払うことでGammaDelta Therapeutics 社を買収するオプション権を行使したもの。
今回の取得は、2017年に武田薬品とGammaDelta Therapeutics社が締結した複数年の提携契約に続くものであり、同該契約において、武田薬品は、GammaDelta社の新規ガンマ・デルタT細胞療法プラットフォームの開発を進め、GammaDelta社の株式を取得し、同社買収の独占的オプション権を取得した。
同買収は、2022 年度第 1 四半期の完了を予定しているが、米国の1976年ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法を含む独占禁止法に基づく審査完了時期による。
武田薬品は、自然免疫を強化する機構に着目することにより、がん治療における免疫療法のインパクトを拡大するべく活動している。自然免疫反応は、様々な機序や、ガンマ・デルタ T 細胞やナチュラルキラー(NK)細胞をはじめとする多種多様の細胞がオーケストラのように連携し疾患と戦う生体防御機構の第一線として活動する仕組みで、これを活用すれば、免疫の監視から逃れる能力をもつがんの克服に役立つと考えられている。
GammaDelta 社の細胞療法プラットフォームには、血液がんおよび固形がんの治療を目的とするガンマ・デルタT細胞に基づく血液由来および組織由来の同種免疫療法を作成する目的で構築された技術を含む。
いずれのプラットフォームとも、選択性の高い同種細胞療法を遺伝子組換えを行う場合も行わない場合のいずれについても作成でき、作成した細胞は固形がんおよび血液がんのいずれに対しても高い活性を示すことが前臨床試験で明らかにされている。
◆クリストファー・アーレント武田薬品 Oncology Cell Therapy and Therapeutic Area Unitヘッドのコメント
我々は、治療へのアクセスが良く、固形がんの治療法となる可能性のある細胞療法をお届けできるよう、多くの患者さんにインパクトをもたらせる off-the-shelf(レディメイド)の同種細胞療法の開発に注力している。
GammaDelta 社のチームのような独自の技術基盤と専門性を持つ研究者らとの連携により、武田薬品はがん患者さんの生活にインパクトをもたらす製品の開発に向けて最も期待が持てるアプローチを特定し、開発を加速することができる。
ガンマ・デルタ T 細胞療法は、固形がんと血液がんのいずれも標的とできる、他社との差別化ができるアプローチである。我々は、GammaDelta 社の細胞療法プラットフォームを武田薬品のがん免疫治療領域のR&D活動に組み込んでいきたいと考えている。
◆パオロ・パオレッティGammaDelta社CEOのコメント
武田薬品による買収オプション権の行使は、両社の連携で成果が得られ、GammaDelta Therapeutics の固形がんと血液がんの治療に向けた新規基盤技術の開発が進んだこの数年間の活動の集大成といえる。
我々はともに活動することで、当社の ガンマ・デルタT細胞療法プラットフォームは大きく進歩し、複数の新規細胞療法候補をパイプラインに入れ、最初のプログラムについてはP1相臨床開発まで進めることができた。
今回の買収は、当社のチームが積みあげてきた研究がもたらした成果であり、がん患者さんの転帰改善を目標とする革新的な同種細胞療法の速やかな開発を可能にする基盤を提供するものである。