アストラゼネカは25日、イミフィンジとトレメリムマブの併用療法について、P3相HIMALAYA試験において切除不能な肝がんの一次治療として全生存期間を有意に延長したと発表した。
併用療法は、イミフィンジに免疫反応を誘導(プライミング)する高用量のトレメリムマブ単回投与を追加するもので、疾患対象は、切除不能な肝細胞がん(HCC)のうち全身療法による前治療歴がなく、局所療法が適さない患者の一次治療。
肝がんのもっとも一般的な腫瘍型はHCCである。肝がんは、がんによる死因の第3位であり、毎年約90万人が肝がんと診断されており、世界で6番目に多く診断されている。進行性肝がんの5年生存率はわずか7%といわれている。
HIMALAYA試験では、併用療法群がソラフェニブ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した。
イミフィンジおよび抗 CTLA-4 抗体であるトレメリムマブの同新規用量および投与スケジュールは、STRIDE レジメン(Single Tremelimumab Regular Interval Durvalumab)と呼ばれている。同併用療法は、良好な安全性プロファイルを示しており、イミフィンジにトレメリムマブを追加しても重度の肝毒性の発現が増加することはなかった。
イミフィンジ単剤療法は、OSにおいてソラフェニブに対する非劣性を示し、数値上は良好な傾向にあった。さらに、ソラフェニブと比較して忍容性プロファイルの改善が認められた。
イミフィンジおよびトレメリムマブは、2020 年、HCCの治療薬として、米国で希少疾病用医薬品の指定を受けた。また、トレメリムマブは、昨年、HCCの治療薬としてEUでも希少疾病用医薬品の指定を受けている。
◆Memorial Sloan Kettering Cancer Center 指導医でHIMALAYA試験治験責任医師のGhassan Abou-Alfa氏のコメント
HIMALAYA 試験は、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジに、新たに抗 CTLA-4 抗体をプライミングとして単回追加投与する初めてのP3試験である。
この併用療法により、肝がんに対する患者さん自身の免疫系の機能を高め、副作用を最小限にとどめながら生存期間の最大化が期待でき、肝がんの患者さんにとって非常に素晴らしいニュースである。
◆Susan Galbraithアストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
いくつかの臨床試験において、CTLA-4の阻害によって生存曲線のテールで特にベネフィットが大きくなることが示されている。
今回の臨床試験は、治療選択肢が限られており、長期生存の結果が不良の切除不能な肝がんの一次治療として、2つの免疫療法の組合わせレジメンが全生存期間を延長した初めての試験となる。