アストラゼネカは28日、イミフィンジと新規免疫療法の併用療法について、大規模無作為化臨床試験のP2相COAST試験で、切除不能なステージIIIの非小細胞肺癌(NSCLC)患者の臨床転帰を改善する良好な結果が得られたと発表した。
同試験では、化学放射線同時併用療法(CRT)後に増悪が認められなかった切除不能なステージIIIのNSCLC患者において、イミフィンジ単剤との比較で、抗 CD73モノクローナル抗体のoleclumabあるいは抗NKG2Aモノクローナル抗体のmonalizumabとイミフィンジの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を延長し、客観的奏効率(ORR)を改善させた。
追跡期間中央値11.5カ月後となる中間解析の成績から、CRT後のステージIIIのNSCLC 患者を対象にイミフィンジ単剤療法との比較で、イミフィンジとoleclumabとの併用療法は、病勢進行または死亡のリスクを56%(ハザード比[HR]は 0.44;95%信頼区間[CI]は0.26-0.75)、monalizumab との併用療法でも35%(HR は 0.65;95%CI は 0.49-0.85)低下させた。
10カ月後の無増悪生存割合は、イミフィンジとoleclumabの併用で64.8%、イミフィンジと monalizumab の併用で 72.7%であったのに対し、イミフィンジ単剤では39.2%であった。
さらに、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された結果においても、主要評価項目である確定ORRは、イミフィンジ単剤療法に対してイミフィンジと oleclumabの併用療法で増加(単剤18%対併用30%)し、イミフィンジとmonalizumab の併用療法でも増加(単剤18%対併用36%)していた。
NSCLC患者の4人に1人はステージIIIと診断され、腫瘍の大部分は切除不能(手術による除去ができない状態)である。
P3相PACIFIC試験の結果に基づき、CRT後にイミフィンジを投与する治療は、これらの患者に対する世界的な標準治療となっている。
安全性は、治療群間でほぼ同じであり、いずれのイミフィンジ併用療法についても新たな安全性シグナルは確認されなかった。
試験治療下で発現したグレード3以上の有害事象(TEAE;全原因)発現割合は、イミフィンジ単剤群で39.4%、イミフィンジとoleclumabの併用群で 40.7%、イミフィンジと monalizumabの併用群で 27.9%であった。
最も多かったグレード 3/4のTEAEは、呼吸困難であった(各治療群患者の3.0%、1.7%および 1.6%で報告)。グレード3/4の非感染性肺炎は、イミフィンジと monalizumab を投与した患者1例(1.6%)でのみ報告された。
◆Yale Cancer Centerおよびコネチカット州ニューヘブンのSmilow Cancer Hospital 腫瘍内科主任で COAST試験の運営委員会委員長の Roy S.Herbst氏のコメント
イミフィンジは、切除不能なステージIIIのNSCLC 患者さんに対する確立された標準治療薬となっている。だが、現在承認されている治療法では効果を得られない患者さんにとっては依然として解決策が必要である。
安全性プロファイルとともに、イミフィンジとoleclumabあるいはmonalizumabとの併用療法から確認された顕著な改善は、この新しい併用療法がこれらの患者さんたちの転帰をさらに再定義できる可能性を示唆している。
◆アストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのSusan Galbraith氏のコメント
イミフィンジは切除不能なステージIII のNSCLC患者さんの治療を変えてきた。今回、強力な臨床活性を示す2種類のファーストインクラス候補となり得るモノクローナル抗体との新たな併用療法により、イミフィンジの可能性をさらに追求できることを非常に嬉しく感じている。
COAST 試験の素晴らしい結果に基づき、新たな治療選択肢が患者さんの治癒の可能性をさらに高められることを期待して、登録試験を開始する予定である。