令和4年度大阪府・大阪市の予算に対し新型コロナでの薬局従事者への慰労金支給等を要望  大阪府薬

 大阪府薬剤師会の乾英夫会長は15日、大阪府・大阪市への令和4年度予算要望について説明し、「医薬品の有効性・安全性・品質の確保、適正使用の推進並びに医療費の適正化に向けた事業及び薬局における新型コロナ感染症への対応への配慮を強く訴求した」ことを明らかにした。
 来年度の予算要望は、大阪府へは8月4日、大阪市には8月18日に行われたもので、主な項目は、次の通り。
◆新型コロナウイルス感染症流行下における薬局経営に対する財政支援
◆地域医療における健康情報拠点としての薬局の活用
◆市教育委員会における「学校保健技師」職(薬剤師)の設置(大阪市のみ)
◆薬機法改正に伴う新たな認定薬局に対する支援
◆薬剤師によるワクチン接種
◆薬局従事者への慰労金の支給
◆国民が安心して医療・介護を受けられる環境整備
◆国民の負担軽減
◆かかりつけ薬剤師・薬局の推進
◆後発医薬品(ジェネリック医薬品)使用促進に対する助成等
◆府民の「おくすり相談事業」の復活
◆アンチ・ドーピング教育活動に対する支援
◆薬剤師復職支援のための研修事業等薬剤師不足対策事業に対する支援
◆府民健康フォーラムに対する助成
◆認知症対策
◆学校における「くすり教育」等の充実・強化
◆麻薬・大麻・覚せい剤・危険ドラッグ等薬物乱用防止啓発事業への助成ーなど。
 その中で、新型コロナ禍における薬局経営に対する財政支援について乾氏は、「薬局は新型コロナウイルス感染症流行時においても、府民が必要な医薬品等を確実に入手できる体制の確保を図ることが、府民に対する責任と認識している」と明言。
 さらに、「万一、普段服用している医薬品の供給が途切れれば、府民の健康を維持できないばかりか新型コロナ感染時の重症化にもつながってしまう」と指摘する。
 実際、昨年4月以降、外出自粛を受けて医療機関における外来患者が減少し、それに伴い来局患者数も減少している。加えて、処方日数が急速に長期化しているため、薬局経営に甚大な影響を与えている。特に処方日数の長期化(例えば30日処方が90日処方になるなど)により、処方せん1枚当たりの薬剤費が増加しても、薬局の実収入である技術料は薬剤費に比例して上がるものではなく、ほぼ一定額で頭打ちとなっているのが現状だ。
 一方、処方日数の長期化により、月当たりの患者数は減少し、薬局の実収入である技術料が減少して薬局経営は大きな打撃を受けている。加えて、急激な処方日数の長期化により、薬局での医薬品在庫が増加し、キャッシュフローの悪化や、資金不足となる事態も発生している。
 「すでに整備された事業者支援策は、売上高が減少しないと利用できないものが多い。だが、薬局の場合、売上高の多くを薬剤費が占めるので、技術料収入の減少やキャッシュフローの急速な悪化のみが生じた場合は利用できない」と指摘する乾氏。
 その上で、「新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、医薬品提供体制の崩壊を招かないように、大阪府や大阪市に対して薬局機能を維持するために必要な財政支援を強くお願いした」と報告した。

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