国内の短腸症候群治療剤「レベスティブ」新発売  武田薬品

 武田薬品は18日、国内初の短腸症候群治療剤「レベスティブを発売したと発表した。
 同剤は、海外で行われた複数の試験、ならびに国内で小児および成人を対象として実施されたP3試験(SHP633-302、SHP633-305およびSHP633-306、SHP633-307)などの結果を基に、2020年10月27日に厚生労働省に製造販売承認申請を行い、本年6月23日に製造販売承認を取得したもの。
 レベスティブに含まれる成分のテデュグルチドは、天然型GLP-2よりも長く腸管へ作用する組換えヒトGLP-2アナログである。同剤は、33個のアミノ酸からなるペプチドで天然型GLP-2と同様の機序を介して作用する。GLP-2と同一の受容体に結合することにより、同程度の効力および選択性を示す。
 また、DPP-4により不活化されにくく、天然型より半減期が長いという特徴がある。レベスティブは、日本では、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと判断され、開発要請がなされた。
 2014年11月20日付けで、厚生労働省より、予定される効能又は効果を短腸症候群として希少疾病用医薬品に指定され、短腸症候群の治療剤として本邦において開発が進められた結果、2021年6月23日に製造販売承認に至った。
 短腸症候群(SBS)は、まれで重篤な慢性疾患であり、食事から十分な水分や栄養を吸収できず、生命を維持するために静脈栄養が必要となる。
 SBSの病因は、成人と小児で異なる。小児では、壊死性腸炎と先天性異常、成人では腸間膜血管疾患、炎症性腸疾患、および術後合併症が最も一般的な原因である。多くの患者では、腸管機能が順応していくが、中には腸不全を伴うSBS(SBS-IF)として生涯にわたり静脈栄養や静脈内輸液を必要とする患者もいる。
 静脈栄養や静脈内輸液は生命維持に不可欠である一方、SBSの病態や静脈栄養への依存は、患者のQOLを低下させ、カテーテル関連血流感染症、敗血症、血栓症や腸管不全関連肝障害などの重篤な合併症につながり、生命予後が低下する恐れがある。
 また、SBS患者は、栄養失調、脱水、下痢、疲労、脱力などの多くの症状を抱えながら生活している。SBSの有病率および罹患率は多くの国で明らかになっておらず、日本でも同様だ。多くの推定値は、SBSのために長期的な在宅静脈栄養を要する患者数のデータに基づいている。

◆武田薬品GIスペシャルティビジネスユニットヘッドの中村浩己氏のコメント 短腸症候群の患者さんが待望されているレベスティブを、本日からお届けできることを心よりうれしく思う。
 レベスティブが残存小腸の表面積を拡げ栄養吸収能を高めることにより、患者さんの静脈栄養への依存度を下げることが期待される。本邦において、レベスティブが短腸症候群の新しい治療選択肢となり、一人でも多くの患者さんのより良い生活や人生に貢献できるよう、企業として取り組んでいきたい。

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