アニフロルマブ 米国で中等~重症全身性エリテマトーデス対象に承認取得  アストラゼネカ

 アストラゼネカは10日、アニフロルマブ(遺伝子組換え)が、中等症から重症の全身性エリテマトーデスの適応で米国で承認取得したと発表した。対象は、標準治療を受けている中等症から重症の全身性エリテマトーデス (SLE) 成人患者。。
 米国FDAによる同承認は、2つのP3相試験である TULIP 試験とP2相試験のMUSEを含むSaphnelo臨床開発プログラムの有効性および安全性データに基づくもの。これらの試験では標準治療に加えて、Saphnelo投与群の患者は、プラセボ群に比べ、皮膚および関節を含む臓器系全体にわたる疾患活動性の低下を示すとともに、経口ステロイド剤(OCS)の使用量の持続的低減を示した。
 この承認は、I型インターフェロン(I型IFN)受容体拮抗薬の新規の薬事承認であり、ここ10 年間で、SLE治療薬に対する初の薬事承認である。
 I型IFNは、ループスの病態生理において中心的な役割を果たし、I型IFNシグナルの亢進は疾患活動性の増加と重症度の増大に関連している。
 この3つの臨床試験の Saphnelo投与群の患者に発現した頻度の高い有害事象は、鼻咽頭炎、上気道感染、気管支炎、注入関連事象、帯状疱疹および咳が挙げられる。
 米国において最大30万人に影響を及ぼしている最もよく見られるループスの一種であるSLEは、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系およびアジア系の人口集団に偏って影響を及ぼす。
 これは、すべての臓器に影響し得る複雑な自己免疫疾患であり、患者は多くの場合、消耗性症状、長期的な臓器障害および健康関連のQOLの低下を経験する。
 なお、P3相TULIP-2試験の結果は、2020 年 1 月、The New England Journal of Medicine に、P3相TULIP-1試験結果は、2019 年12月、The Lancet Rheumatology に、P2相MUSE試験の結果は2016年11月、Arthritis&Rheumatologyに掲載された。
 Saphneloは、SLEの適応で、EUおよび日本で薬事審査中である。皮下投与を用いたSLE を対象とするP3相試験が既に開始され、複数の新たなP3試験が、ループス腎炎、皮膚エリテマトーデスおよび筋炎を対象として計画中である。

◆米国ニューヨークのNorthwell Health リウマチ学部門責任者でSaphneloの臨床開発プログラム治験統括医師のRichard Furie氏のコメント
 我々のSLE治療の目的は、疾患活動性を低下させ、疾患自体による、または治療薬による臓器障害を予防し、患者さんのQOLを改善することである。    Saphnelo の承認は、ループスの疾患領域全体にとって、大きな進歩を意味する。医師は、ステロイド剤の使用を抑制しつつ、疾患活動性の意義のある改善をもたらした効果的で新たな治療薬の提供が可能になる。

◆バイオファーマ研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのMene Pangalos氏のコメント
 Saphneloの画期的な承認は、SLE の病態生理における中心的なドライバーであるI型IFNの情報伝達経路に対する長年にわたるアストラゼネカの先駆的研究の集大成である。
 今回の画期的な治療薬は、多くの場合消耗性疾患であるこの疾患と共に生きる患者さんの人生を有意義に改善する可能性を有している。

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