顧客満足度覆面調査を全国展開するMS&Consulting(本社:東京都)は5日、全国の一般消費者1057名の男女を対象に7月20日~24日まで実施した「ワクチン接種と経済活動再開意向に関する調査」の結果を発表した。
調査では、過半数の消費者が「ワクチン接種により複数名での外食(宴会など)や国内旅行を今まで通りに戻せる」と感じていることが分かった。長く続く自粛によって大きな影響を受けてきた飲食業界・観光業界にとって、ワクチン接種が状況を好転させていく大きな要因となっていくことが期待される。
調査対象は、ミステリーショッピングリサーチ登録調査員(一般消費者モニター)、回答者の年代は、20・30・40・50代、エリアは、1都3県・それ以外がほぼ均等になるよう調査が行われた。調査結果の詳細は、次の通り。
■結果①|ワクチン接種により52.4%の消費者が複数名での外食を今まで通りに戻せると回答
感染拡大防止の観点から、特に宴会など複数名でアルコールを伴う飲食は自粛が求められていり。そうした状況下「コロナ前の状況に戻るための条件」について聞いたところ、図1のような分布となった。
消費者の反応も大きく分かれている中で、過半数がワクチン接種の進展によって今まで通り外食に行けるようになると感じていることが分かる。
図1 「複数名での外食(宴会など)」が今まで通りに戻る条件
設問:あなた自身の「複数名での外食(宴会など)」が今まで通りに戻る条件として、最も当てはまるものは以下の中でどれだと思いますか? (注)%表示は四捨五入している
【自由回答より】
ワクチンに関係なく、アルコール消毒・マスクの着用・換気である程度の感染を予防することが可能と考えるから。 (20代女性|ワクチン接種していないが、既に今まで通り)
自分自身のワクチン接種が完了していたら、密を避けたりマスクやアルコールなどの感染対策をしていれば、大丈夫だと思う (30代女性|自分自身のワクチン接種が完了したら)
ワクチンを打った後でも日常に戻らなければ今後、ずっと現状が続くことが考えられる。そこまで我慢ができない事やワクチン以外の有効策がない事からワクチン摂取事以上の対応が出来ないだろうと考え、そこが妥協点と考えたから。 (20代男性|自分と一緒に行く人のワクチン接種が完了したら)
感染対策は、店舗できちんとされていると思うので、接種比率が高くなれば良いと思う。 (40代女性|ワクチン接種済の比率が今の欧米並みになったら)
やはり、自身だけではなく周りの顧客もワクチン接種をしているのが分かれば安心できると思ったので。 (30代女性|ワクチン接種済の比率が今の欧米並みになったら)
会社からも複数名での飲食を避けるよう指示が出ており、自己判断で複数名での会食をした場合のリスクは取りたくないので。 (30代女性|政府などから「経済活動を全面再開(自粛不要)」宣言があったら)
便宜上分からないを選択したが、ワクチン云々よりも治療薬が開発されインフルエンザのような状態になれば元に戻していいと思う。 (30代男性|分からない)
以前ほど宴会などには興味がなくなったため。少人数の会食は、「政府などから「経済活動を全面再開(自粛不要)」宣言があったら」で戻そうと思う。 (40代女性|今後も戻らないと思う)
■結果②|ワクチン接種により54.7%の消費者は国内旅行を今まで通りに戻せると回答
外食と同様に自粛が求められている国内旅行についても「コロナ前の状況に戻るための条件」を聞いたところ、図2のような結果になった。傾向としては外食と同様に消費者の反応も大きく分かれている中で、過半数がワクチン接種の進展によって今まで通り国内旅行へ行けるようになると感じていることが分かった。
図2 「国内旅行」が今まで通りに戻る条件
【自由回答より】
自分や家族も感染予防行動をとっているし、滞在先でも感染予防に努めているので不安を感じないから。 (30代女性|ワクチン接種していないが、既に今まで通り)
旅行は家族としか行かないので、自分自身を含めた家族みんなが接種していれば問題ないと考える。 (30代男性|自分自身のワクチン接種が完了したら)
ワクチン接種が完了したら、少しずつ遠い国内にも出かける予定。ただ、そうなったとしても人口の多い都市部(東京や大阪など)には、行きたくないというのが本音である。観光であれば、むしろ地方に出かけたい。 (40代女性|自分と一緒に行く人のワクチン接種が完了したら)
都内に住んでいるため、県外に行く時の旅行先住民の目が気になる。ワクチンを打っている安心感を国民の過半数が得られた段階であれば、それほど引け目を感じず旅行できる。 (20代男性|ワクチン接種済の比率が今の欧米並みになったら)
ワクチン接種がかなりすすみ国からの宣言があれば旅行も大丈夫かと思うので行きたい。 (50代女性|政府などから「経済活動を全面再開(自粛不要)」宣言があったら)
とりあえず日本全体でそういう状況であれば、どこに行っても県外移動で白い目で見られることはないので。それでも宿泊先等は感染症対策がきちんとされていないところは選ばないと思う。 (50代女性|政府などから「経済活動を全面再開(自粛不要)」宣言があったら)
安心して旅行ができるようになるにはコロナがインフルエンザや風邪のようなウイルスとしてみなされるようになってからだと思う。 (30代女性|分からない)
■結果③|男性より女性の方が「自分では判断できない」と感じる割合が高い
ワクチン接種が進めば男性の方が先に外食や旅行を再開すると予測
同調査の回答を男女別で比較すると、外食と国内旅行の両方において男性は女性よりも【自分で判断し再開する】比率が高く、女性は男性よりも【自分では判断できない】の比率が高いことが分かった。この結果からは、ワクチン接種比率が高まっていくと男性の方が先に外食や旅行などの消費が増えていくと予想される。
表1 「複数名での外食(宴会など)」が今まで通りに戻る条件(男女別)
設問:あなた自身の「国内旅行(少し遠い場所)」が今まで通りに戻る条件として、最も当てはまるものは以下の中でどれだと思いますか?(男性:529名、女性:528名) (注)%表示は四捨五入している
■まとめ|消費者が考えるワクチン接種と経済活動再開の関係とは
今回行った全国のモニター調査員1057名に対する調査では、過半数がワクチン接種により複数名での外食(宴会)や国内旅行を再開できると回答した。
回答にはばらつきがあり様々な意見が混在している状況ではあるが、今後ワクチン接種の推進により日本においても徐々に経済活動が戻ってくると考えられる。
既に欧米では一定の感染症対策は継続しつつも、アメリカやイギリスなどワクチンの2回接種済み比率が高い国では経済活動を再開しつつある。日本においても、5月にワクチン接種が本格的に開始され約3ヵ月経過した8月3日時点での2回接種完了者比率は29.8%に達した(首相官邸ホームページより)。感染拡大を一定程度抑えることができれば、今年の年末にかけて徐々に経済活動が戻ってくることが期待される。