データ駆動型創薬の加速化を目指し薬物スクリーニング用AI技術構築  田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は25日、AIベンチャー企業HACARUS(本社:京都市)独自のAI技術を活用して、新たな薬物スクリーニング用AI技術を構築したと発表した。同技術の構築は、データ駆動型創薬の加速化を目的としたもの。
 田辺三菱製薬は、これまで、大阪大学大学院基礎工学研究科・機能創成専攻 三宅淳教授らの研究グループ(現連絡先:大学院工学研究科)と共同で、ディープラーニングによる薬物スクリーニング用AI技術開発の研究を推進。このAI技術によって、高い知識・技術を持った研究者による事前のデータ検討なしに大規模な画像を用いた薬物評価が可能になった。
 こうした中、AI技術のさらなる活用には、「計算リソースの大規模化」と「AIのブラックボックス化」という2つの課題があった。これら2つの課題に対し、2020年度よりHACARUSが持つ独自のAI技術の活用について検討を開始し、今回構築した新しいAI技術が薬物スクリーニングに有用であることが分かった。
 今回の成果は、次の通り。

 1スパースモデリングの活用により、「計算リソースの大規模化」を解消し、一薬物当たり15~40分かかっていた解析時間を、約16秒まで短縮した。

 2スパース構造学習によって、薬物投与の影響を受けた画像特徴量を推定することで説明可能となり、「AIのブラックボックス化」を回避した。

 今回の成果については、将来的に、遺伝子多型に着目した薬物スクリーニングや患者iPS細胞などを用いた薬物スクリーニングへの応用により、同社が中計21-25で注力するプレシジョンメディシンの実現に貢献すると期待されている。

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