武田薬品は28日、日本とアイルランドの製造施設が、国際製薬技術協会(ISPE)による 2021年の年間優秀施設賞(Facility Of the Year Awards:FOYA)を 受賞したと発表した。
同社の山口県光市にある光工場の固形製剤包装用製造施設が、2021年「Process Intelligence and Innovation」アワードを受賞。さらに、アイルランドのグレンジキャッスルにある高薬理活性医薬品の全生産工程を担う工場が、「Facility Integration」カテゴリーで受賞した。
光工場は、武田薬品の最大規模の工場の1つだ。原薬(API)、 製剤、及び生物学的製剤などを含む高度な製造体制を特徴としており、高品質な医薬品を世界に向けて供給している。
光工場でのプロジェクトは、医薬品包装工程を新たな業界標準レベルに引き上げるよう設計された4階建ての施設で展開されている。この施設は、最終工程の箱包装、無人搬送車(AGV)、自動倉庫(ASRS)への格納用ロボットを含め、全工程において高度に自動化された包装設備をその特徴としている。
さらに、360°カメラと人工知能(AI)を使用したレーザーセンサー付きの自動ラインクリアランスシステム(ALC)を開発・導入し、医薬品包装工程の効率を大幅に改善した。既製の製造プロセスツールと自社向けに開発したものを新たに組み合わせることで、優れた結果と高度なプロセス理解をもたらす事例となっている。
一方、アイルランドのグレンジキャッスル工場は、ダブリンに位置し、3つの製造施設で構成されている。ISPEにより今回受賞したのは、同社の多発性骨髄腫治療薬の製造に特化した、独立した封じ込め装置を有する最先端施設だ。
適切な設計と優れた構想・計画により、工程が一体化されすべてを統合した施設となっている。革新的な設計により、原薬製造から製剤、包装までの全生産工程を同じ建屋で行う「オール・イン・ワン」施設となった。
これにより、武田薬品のグローバルに供給するオンコロジー製品においてサプライチェーンが大幅に簡素化され、制約無く世界中の患者さんに医薬品を提供できる体制を整えている。
受賞したプロジェクトの公式セレモニーは、11月にマサチューセッツ州ボストンで開催される今年の ISPE Annual Meeting & Expo(年次総会&エキスポ)で実施される予定である。
◆武田薬品Global Manufacturing and Supply Officer のThomas Wozniewski 氏のコメント
当社が低分子固形製剤の製造および包装で、2つのアワードを受賞したことを光栄に思う。2018年に、ロサンゼルスの血漿分画製剤製造施設がFOYAの2 つのアワードを受け、今回は、日本と欧州の2つの施設が「Process intelligence and innovation」および「Facility integration」のカテゴリーで受賞した。
当社が、ベスト・イン・クラスの製造工程とデジタル標準を適用した最先端の施設を目指し、絶えず投資している結果であると考えている。光工場およびグレンジキャッスル工場の両プロジェクトは、低分子製剤モダリティにおいても引き続き、コストと時間効率の両面で、著しい技術的改善が可能であることを示している。
◆武田薬品Global Engineering のHead の Gunter Baumgartner氏のコメント 設計チームは、ベスト・イン・クラスのデジタル技術を導入し、ペーパーレス・オートメーションやロボット工学、AR(拡張現実)などの最新技術を使用する環境を実現した。
このデジタル・自動化システムの戦略的な活用によって最先端の設備設計が可能となり、当社は業界のフロントラ ンナーの地位を得た。