タニタは、6月1日より、皮膚と筋肉の間の皮下脂肪の厚さを簡便に計測できる皮下脂肪厚計「SR-903」を発売する。同品は、医療従事者が新型コロナワクチン接種の効率化に使用できると判断した場合に安価に導入できることを目的に開発されたもの。
新型コロナワクチン接種において、インスリン用注射器を使用して接種回数を増やす手法が、医療機関から公表された。これをスムーズに実施する上で皮下脂肪厚をはかれる計測機器が役立つことが示唆されたことを受け、急遽、同品の商品化を決定した。
超音波検査(エコー)装置と高い相関を持つ精度の高さとシンプルな操作で誰でも簡単に計測できるのが特徴で、価格は9900円(税込み)。タニタオンラインショップ(https://shop.tanita.co.jp/)専売で、同サイトで4月5日より予約受け付けを開始している。
今回発売する「SR-903」は、タニタの体組成計と同様に、からだに微弱な電流を流し、その電気抵抗値(インピーダンス)を基に皮下脂肪の厚さを解析する。体に電流を流した際、脂肪は筋肉に比べ、インピーダンスの位相差が生じにくいという特性がある。そのため、皮下脂肪が厚くなるほど、インピーダンスの位相差は小さくなる。
この原理に着目し、タニタ独自のアルゴリズムで解析する。アルゴリズムの開発に当たっては、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所と共同で、20代から60代の男女71人の被験者を対象としたインピーダンスによる皮下脂肪厚計測の妥当性を検証した。
その結果、エコー装置による皮下脂肪厚との相関係数が0.9以上という高精度の皮下脂肪厚計測を実現した。
使い方は簡単で、①本体裏面の電極または計測する部位を水で濡らす②「ON」ボタンを押す③「START」ボタンを押して計測する部位に電極部分を当てる――の3ステップで計測できる。計測時間は約5秒。計測範囲は0.3cm-5.0cmで、0.1cm単位で皮下脂肪の厚さを表示する。大きさは、幅44mm、高さ26mm、奥行138mmで、重さは約91g(電池を含む)。
「SR-903」は、既存商品である皮下脂肪厚計「SR-901」をベースに開発することで、短期間での商品化に対応するとともに、リーズナブルな価格での提供を実現した。ただ、同商品は医療機器に該当しないため、使用にあたっては、医療従事者および関係者の判断による。必要なデータや資料については、要請に応じて提供していく。