日本での製品売上高 26億2000万ドルで国内業界第 4 位に上昇  アストラゼネカ

コロナワクチンは日本で承認後迅速に必要な量を供給

 アストラゼネカ6日、Webによる2020年(1 月~12 月)通年業績記者発表会を開催した。会見したステファン・ヴォックスストラムアストラゼネカ日本法人代表取締役社長は、「日本における同年度の製品売上高は26億ドル(対前年比2%増)で、薬価ベースの国内医療用医薬品売上高で2019年度の業界5位から4 位に上昇した」と発表した。
 また、日本国内での新型コロナワクチンの供給については、田中倫夫氏(執行役員研究開発本部サイエンス&データアナリティクス統括部長、パンデミックワクチンプロジェクト日本リード)が、「厚労省から承認を得たタイミングで迅速にしっかりと必要な量を供給する」考えを示した。
 新型コロナウイルス感染症の抗体医薬候補「AZD7442」についても、3月より日本国内で国際共同P3試験(TACKLE試験)およびP1試験を開始しており、「承認申請の準備を進めている」(田中氏)ことを改めて強調した。
 2020年通年業績における主要3領域(オンコロジー、呼吸器・免疫、循環器・腎・代謝疾患)の製品売上高では、まず、オンコロジーの製品売上高が15億 1400万ドルとなった。その中で、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療の新規患者においてタグリッソのシェアは80%超、切除不能なステージⅢ非小細胞肺がんの根治的化学放射線療法後の新規患者においてイミフィンジのシェアは80%超、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法においてリムパーザのシェアは64%であった。
 呼吸器・免疫の製品売上高は、3億2800 万ドルで、喘息のバイオ医薬品におけるファセンラのシェアは 46%であった。
  循環器・腎・代謝疾患 5の製品売上高は、1億4100万ドル。SGLT2 阻害剤の単剤療法において、フォシーガのシェアは22.5%を示した。
 また、2020年に同社は、新たに6つの治療法を提供した。オンコロジー領域では、リムパーザにおいて、卵巣がん、膵がん、前立腺がんの3つの追加適応を取得。
 また、循環器・腎・代謝疾患領域では、腎領域で初めての製品となるロケルマの高カリウム血症での承認取得、フォシーガにおいて慢性心不全の追加適応を取得した。
 2021年には、1 月にカルケンスが再発/難治性慢性リンパ性白血病の治療薬として承認を取得した。さらに1月には、フォシーガが慢性腎臓病治療薬として厚生労働省より優先審査品目に指定された。
 新型コロナウイルス感染症ワクチンAZD1222についても2月に承認申請を行った。全身性エリテマトーデス治療薬 Anifrolumab
も、現在承認申請審査が進行中である。
 新型コロナウイルスへの取り組みとしては、オックスフォード大学と共同開発している新型コロナウイルス感染症ワクチンAZD1222 は、2020 年 12 月、日本政府と日本国内における供給に関わる最終合意書を締結した。
 新型コロナワクチンは、日本政府との間で2021年の第1四半期に3000万回分供給する契約を交わしていたことに対し、田中氏は、「契約は日本国内承認後に供給することになっているが、現在のところ未承認なので供給できない」と説明。その上で、「承認されれば、そのタイミングで迅速にしっかりと必要な量の供給を実現する」と訴求した。
 また、3月には新型コロナウイルス感染症の抗体医薬AZD7442の臨床試験を日本で開始した。深刻なパンデミックから人々を守るべく、新型コロナウイルス感染症の予防・治療に関わるあらゆる手段を評価していく。
 パートナーとの連携推進では、ヘルスケア分野におけるオープンイノベーション活動を積極推進する「i2.jp 」を発足。パートナー数は2020年11月発足当初の7から、2021年3月末には55 まで飛躍的に成長した。
 自治体との連携では、本年1月、大阪府と健康、防災、子ども・福祉、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、環境、地域活性化の6分野にわたる包括連携協定を締結。
 デジタルテクノロジー企業との連携については、Welbyと肺がん患者の治療管理をサポートするPHR(Personal Health Record)サービス「T-ダイアリー」を共同リリースした。
 Ubieと慢性閉塞性肺疾患および慢性心不全の早期発見・早期治療支援を目的としたAI問診をベースとしたデジタル活用の推進に向けて協業。さらに、キャンサースキャンと自治体を含めた連携のもと、COPD 疾患啓発において協業した。
 「働きがいのある職場づくりの更なる推進」にも余念がない。アストラゼネカでは、「働きがいのある職場」づくりを3つのビジネス戦略の一つに位置付けて推進している。
 具体的には、インクルージョン&ダイバーシティとして、様々な立場の人が自由に意見を言える環境を作ってイノベーションやビジネスのさらなる加速を目指し、Speak up文化の奨励や女性管理職比率の向上などに取り組んでいる。
 また、部長職以上の女性管理職割合は29%(2020 年末時点)で、2021 年末までに32%以上への伸張を目指す。
 社員のパフォーマンスの持続的な向上を目指し、年齢に関わらず自ら学び続ける機会を提供するライフロングラーニングを展開。SNS 機能を持ったオンライン教育システムのLeading Self では、90%以上の社員がシステムを利用した学習に取り組んだ(2020 年年間)。
 サステナビリティへの取り組みでは、2020年、アストラゼネカがグローバル全体で掲げる「アンビション・ゼロカーボン」(2025 年までにグローバル規模で事業からの CO2 排出量をゼロ、2030 年までにバリューチェーン全体にわたってカーボンネガティブにする)への取り組みを加速させた。
 J-クレジット制度活用による2020年消費電力を 100%再生可能エネルギーを達成。2020年は、84%の営業車をハイブリッドカーに切り替え、2021年末までに100 台の電気自動車への切り替えを、2025 年までに全ての営業車の切り替えを目指す。米原工場では、2021年末までにゼロ・カーボンを目指す

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