武田薬品は17日、パーキンソン病の患者のQOL向上を目的に、音楽を活用して日常生活における運動のきっかけにしてもらうためのアプリケーション「Parkinsounds(パーキンサウンズ)」の提供を開始したと発表した。
同アプリケーションは、個人のスマートフォン端末へダウンロードして無料で使用できる。利用者はあらかじめ設定されている全57曲、クラシックやポップなどの幅広いジャンルから1曲を選択し、利用者にとって最適なテンポであるBPM(Beats Per Minute)を11段階から選択可能である。
バイブレーター機能によりビートの振動を身体で感じながらの運動や、ビート音のみを聴くこともでき、利用者のニーズに基づいてさまざまな使い方ができる。「Parkinsounds」を通じてパーキンソン病患者をサポートするとともに、音楽を聴きながら体を動かす楽しさを知ってもらうことを目的としている。
また、パーキンソン病における患者サポートの充実を目的とした取り組みの一環として、音楽と専門医の解説に合わせて体を動かすことができる音楽コンテンツのポッドキャストの配信や患者向けレシピ集も公開している。
武田薬品は、5つの主要ビジネスエリア(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジーおよびニューロサイエンス)に注力し、革新性の高い医薬品を提供できるよう研究開発を進めている。
その中で、ニューロサイエンス領域におけるパーキンソン病は、神経伝達物質であるドパミンの量が減ることで発症する。ドパミンは脳内の黒質で作られるが、パーキンソン病では脳の神経細胞が減少しドパミンの量が減るため、神経伝達に障害が生じ手足が動きにくくなったり、震えたりする症状が現れる。
患者の歩行にも影響を及ぼすため、日常的な運動機能の刺激が有効とされている。
今回のパーキンソン病に関連した取り組みについて、ジュベル・フェルナンデス武田薬品ジャパンメディカルオフィスヘッドは、「ニューロサイエンス領域は当社が注力する5つの主要ビジネスエリアの一つである。今回の取り組みは、患者さんの日常生活の包括的な支援が目的の当社のイニシアチブ、ペイシェント・ファースト・プログラムの一環である」と説明。
その上で、「デジタル技術の活用も含め、当社は今後も継続して、患者さんを支援する革新的なツールを検討していく」とコメントしている。