武田薬品は12日、新興国ビジネスユニット(GEM BU)の売上収益成長目標として、2030年度までに現在の売上収益の2倍以上となる1兆円(約90億米ドル)の売上収益達成を目指すと発表した。ブラジル、中国、インドなどの高成長市場での事業拡大を目指す。
同社では、日本、米国、欧州・カナダ(EUCAN)ならびに成長新興国(GEM)の4つの地域で事業展開している。GEM BUは、シンガポールを拠点とし、ブラジル、中国、ロシアを含む約50の国と地域にプレゼンスを有している。
南アメリカ、中東、アジア・パシフィックに拠点を持つ3つのエリアに加えて、ブラジル、中国、ロシアでは、販売活動を通じて持続的な利益成長を実現するとともに、グローバルでの医薬品アクセス戦略の拡大に向けた取り組みを推進している。
GEM BUが掲げる2030 年度までに売上収益1兆円達成に向けて、主に地理的にバランスのとれた事業展開や、革新性の高いグローバルブランド14製品とウェーブ1パイプラインへの的を絞ったポートフォリオへの投資が、この潜在的な成長を牽引する。
現在のGEM BUの売上収益の95%は、同社の主要な5つのビジネスエリアにおける革新的な治療薬によるもので、GEM BU は今後10年で対象地域における市場成長予測を上回る大きな目標を掲げている。
人口65億人を有する広大な新興国市場において同社は、重点疾患領域にわたる患者のアンメットニーズが大きな成長機会となり、グローバルで整合した「アクセスファースト」戦略によってその成長が実現できると確信している。
GEM BU は、ブラジル、中国、インドなどの高成長市場での事業拡大を目指している。これらの市場は、重点疾患領域の既存製品および今後上市予定のウェーブ1パイプラインの継続した成長の強固な基盤への成長が見込まれる。
特に、中国は、今後5年で20%を超える売上収益の年平均成長率を達成する可能性を有し、地域レベルおよびグローバルレベルでも、同社における大きな成長の推進力になるものと期待される。
武田薬品の革新的な研究開発体制を通じ、GEM BU において革新的な治療薬を提供していく。
ウェーブ1パイプラインのうち、毎年3億9000万人が罹患するデング熱ウイルス感染症の予防のために開発されているデング熱ワクチン候補(TAK-003)は、GEM BUからもたらされる収益が大半を占め、GEM BUの大きな成長ドライバーになると予想される。
新興国市場における持続的成長に向け、各国の医療制度の強化や事業運営への持続的なアプローチの優先など、武田薬品は、患者が革新的な医薬品へ継続してアクセスできるように取り組んでいる。
最近公表された2021年のAccess to Medicine Index において、同社は、医療制度の強化やコンプライアンスの面で優れた評価を受け、「医薬品アクセスに対するガバナンス」のカテゴリーで1 位を獲得している。
リカルド・マレック武田薬品GEM BU Presidentは、「当社のポートフォリオは、革新的な治療薬と十分な競争力を有する事業規模を兼ね備えている」と強調。
その上で、「魅力的な市場のファンダメンタルズと力強い業績を達成する経営陣により、生命を救う革新的な治療薬への患者のアクセスを向上させつつ、持続的な売上収益成長の実現に向けて取り組んでいく」と抱負を語る。
コスタ・サルウコス武田薬品Chief Financial Officer は、「イノベーションに注力するという当社のグローバル戦略により、今後 10 年で、新興国市場は当社の収益と成長の主要な源となる」と明言。さらに、「ポートフォリオや主要市場への投資を通じ、GEM BU では、グローバルブランド14製品の売上伸長とウェーブ1 パイプライン上市により、スペシャリティ領域の革新的な治療薬で市場を上回る成長を期待している」と述べている。