大幸薬品は16日、二酸化塩素の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活化効果を確認したと発表した。同研究成果は、大阪府立大学生命環境科学研究科の山﨑伸二教授との共同研究で確認されたもので、6日に開かれら第17回日本小児消化管感染症研究会で報告された。
実験は、特許二酸化塩素ガス溶存液(クレベリンPro希釈用液、大幸薬品製)の各所定濃度に、SARS-CoV-2液を加え、各時間経過後(10秒, 30秒, 1分, 3分)に中和後、その溶液をSARS-CoV-2に感受性のある培養細胞(TMPRSS2発現VeroE6細胞)に接種し、感染ウイルス量を定量する手法(TCID50法)で実施された。
その結果、SARS-CoV-2による感染価が、二酸化塩素溶存液100 ppm(1.5 mM)で10秒で99.997%(常用対数4.5)以上、10ppm(0.15 mM)で10秒で99.96%(常用対数3.4)以上の低減となり、共に検出限界以下であることが確認された。
SARS-CoV-2は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の糞便等から検出されている。また、生存SARS-CoV-2は、エアロゾルや物体表面で比較的長い時間検出されたとの報告がある。
これらを踏まえ、同研究成果から、ヒトが触れる場所(ドアノブ、便座、床、洗面等)に、二酸化塩素を活用することで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染対策に有効であることが期待できる。
大幸薬品では、二酸化塩素分子によるSARS-CoV-2のヒトの体内への感染阻止メカニズムを解明しており、この知見も日本小児消化管感染症研究会で報告された。
二酸化塩素によるSARS-CoV-2のSタンパク質のACE2への結合阻害の可能性や、タンパク質のチロシン残基とトリプトファン残基の特異的な酸化による不活化の報告により、Sタンパク質のACE2レセプター結合ドメインの453番目のチロシン残基を酸化することでACE2との結合阻害を起こさせる可能性が示唆されている。大幸薬品では、さらなる研究により、衛生対策の有効な手立てのひとつとして、低濃度二酸化塩素の活用を提言していく。