抗体誘導ペプチドの AI 共同研究で「SIGBIO優秀プレゼンテーション賞」受賞  ファンペップ

 ファンペップは8日、同社とフューチャー社、大阪大学大学院医学系研究科との抗体誘導ペプチドのAI共同研究が、第64回バイオ情報学研究会の「SIGBIO優秀プレゼンテーション賞」を受賞したと発表した。
受賞は、両社と大阪大学の共著論文『大規模タンパク質データベースに基づく BERT を用いたペプチド結合予測』が評価されたもの。
ファンペップは、深刻化する先進国の医療財政問題の解決や患者負担の軽減に向けて、高額な抗体医薬品に対する代替医薬品として次世代の創薬モダリティである抗体誘導ペプチドの研究開発などを進めており、昨年12月25日、東京証券取引所マザーズ市場に上場している。
 抗体誘導ペプチドは、疾患関連の標的タンパク質に対する抗体産生を誘導するように設計されており、抗体を産生するB細胞が認識する「B 細胞エピトープ」と、B 細胞を活性化するヘルパーT 細胞が認識する「T 細胞エピトープ」の2つのペプチドにより構成されている。
 ペプチドは、アミノ酸2~50 個程度が結合した物質で、一般的に、50個以下のアミノ酸が鎖状に結合した物質をペプチドと呼び、それ以上の数のアミノ酸が結合した物質をタンパク質と呼んでいる。
 ファンペップは、抗体誘導ペプチドの探索研究に必要な研究プロセス(候補ペプチドの合成及び動物試験の実施等)を効率化して多額のコストを抑制することを目的に、フューチャー社及び大阪大学大学院医学系研究科との間でAI予測システムの構築について共同研究を推進。
 ①「B 細胞エピトープ」の抗体誘導活性予測システムと、②「T 細胞エピトープ」の予測システム(ヘルパーT 細胞活性化に必要な MHC クラスⅡ分子への結合能予測)の開発を行っている。
 今回受賞した研究では、従来モデルの課題であった「離れたアミノ酸間の複雑な依存関係の認識」及び「学習(実験)データ量」を補完するため、大規模タンパク質データベースにより事前学習したBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)モデルを用いた検討を行った。
 その結果、同手法を用いることで、B 細胞エピトープ予測(①)及び MHC クラスⅡ分子への結合予測(②)は、LSTM(Long Short-Term Memory)等の従来法を上回る予測精度を達成することができた。
 ファンペップは、今後も、抗体誘導ペプチドの AI 予測システム構築について更なる共同研究を実施し、創薬研究力の強化を図っていく。

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