アカラブルチニブの慢性リンパ性白血病P3試験結果を米国血液学会で発表  アストラゼネカ

 アストラゼネカは17日、日に開催された第62回米国血液学会(ASH)年次総会で、成人白血病において最も患者数が多い慢性リンパ性白血病(CLL)に対するアカラブルチニブ単剤療法の4つの臨床試験結果を報告したと発表した。
 試験結果では、同試験における762例の患者の心血管(CV)安全性データの統合解析において、アカラブルチニブで投与中止に至る心臓の有害事象(AE)の発現率が1%未満であったことが示された。
 この解析には、P3のELEVATE-TN試験およびASCEND試験、ならびにP2相15-H-0016試験およびP1/2相ACE-CL-001試験でアカラブルチニブ単剤療法を受けた未治療、または再発/難治性CLLの患者さんが含まれた。
 この解析では、観察期間中央値25.9カ月時点で、129例(17%)の患者で心血管系のAE(グレードを問わず)が認められ、7例(0.9%)の患者が心臓のAEのために治療を中止した。
 Dana-Farberがん研究所の血液悪性腫瘍部門CLLセンター所長で、治験責任医師のJennifer Brown医学博士は、「慢性リンパ性白血病患者のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤による治療では、心血管系の合併症が治療中止の理由として多く、心臓の有害事象が考慮すべき重要事項となっている」と指摘。
 さらに、「本試験で得られたデータから、アカラブルチニブ投与に伴う心臓の有害事象のリスクは、未治療の慢性リンパ性白血病患者の一般集団と同程度であったことが示唆されており、医師にとってアカラブルチニブを処方するうえで重要なデータである」と話している。
 アカラブルチニブの投与期間中央値は24.9カ月であった。患者の2%以上に発現した心臓事象には、心房細動(4%)、心房細動/粗動(5%)、動悸(3%)、頻脈(2%)などがあった。なお、心房細動の発現率は、一般的な未治療のCLL患者さんの集団と同程度(6%)であった。
 グレード3以上の心臓のAEは、アカラブルチニブ単剤療法を受けた患者37例(4%)で発現し、そのうちの25%は治療の最初の6カ月間に報告された。
 グレード3以上の心臓のAEには、心房細動(1.3%)、完全房室(AV)ブロック(0.3%)、急性冠症候群(0.1%)、心房粗動(0.1%)、第二度AVブロック(0.1%)、心室細動(0.1%)などがあった。
 患者2例においては、グレード5のAEが発現した(1例はうっ血性心不全、1例は心臓発作)。
 全体として、心血管系のAEが認められた患者の91%、心血管系のAEが認められなかった患者の79%が、アカラブルチニブ投与前に1つ以上のCVリスク因子を有していた。心血管系のAEが発現した患者の中で、最も多く認められたCVリスク因子(患者さんの20%以上)は、高血圧(67%)、高脂血症(29%)および不整脈(22%)であった。
 アストラゼネカは、前治療歴のある高リスクCLL患者を対象に、アカラブルチニブとイブルチニブを比較評価するP3相ELEVATE-RR試験(ACE-CL-006)など、CLLを対象とした追加試験を検討しており、データは2021年に得られる見込みだ。
 なお、アカラブルチニブは、本邦では未承認である。

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