アッヴィは10月30日、ベネトクラクスについて、急性骨髄性白血病(AML)に対するFDAの完全承認を取得したと発表した。今回の適応は、75歳以上または強力な導入化学療法を選択できない併存疾患を有する初発の急性骨髄性白血病(AML)成人患者に対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビン(LDAC)との併用療法。
今回の承認は、P3相試験のVIALE-A(M15-656)試験およびVIALE-C(M16-043)試験のデータ、ならびにPIb相試験(M14-358)およびPI/II相試験(M14-387)の最新データに基づくもの。FDAは2018年に、同適応でベネトクラクスを迅速承認している。
VIALE-A試験では、中間解析で良好な全生存期間(OS)データが認められたことから、AMLに対するベネトクラクスのFDA承認の裏付けとしてデータを早期に提出した。同試験によると、実薬レジメンとしてベネトクラクス/アザシチジンを併用投与した患者では、プラセボ/アザシチジン投与時と比較して死亡リスクが34%減少した[ハザード比(HR)0.66(95%CI:0.52~0.85)、p<0.001]。
ベネトクラクス/アザシチジン併用療法群では、OSの中央値が14.7カ月(95%CI:11.9~18.7)であったのに対し、プラセボ/アザシチジン群では9.6カ月(95%CI:7.4~12.7)であった。また、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法群の完全寛解(CR)率は37%(95%CI:31%~43%)、CR持続期間の中央値は18.0カ月(95%CI:15.3~ -)であったのに対し、プラセボ/アザシチジン群のCR率は18%(95%CI:12%~25%)、CR持続期間の中央値は13.4カ月(95%CI:8.7~17.6)であった。
同試験で確認された安全性プロファイルは、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法の既知の安全性プロファイルと概ね一致していた。ベネトクラクス/アザシチジン併用療法群では、初回投与時に最も頻繁にみられた重篤な副作用(5%以上)は、発熱性好中球減少症(30%)、肺炎(22%)、敗血症(真菌性を除く、19%)、および出血(6%)であった。
VIALE-A試験のデータは、2020年6月に開催された第25回欧州血液学会(The European Hematology Association: EHA)年次総会で、最新抄録として最初に発表された。その後、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine: NEJM)にも掲載された。
AMLは、悪性度が高く、治療が難しい血液がんで、生存率の低い疾患である。最近の治療法の進歩にもかかわらず、AMLと診断された患者の5年生存率は約29%にとどまっている。 AMLは多くの場合、急速に悪化し、また、年齢や併存疾患のため、すべての患者さんが強力な化学療法を受けられるわけではない。
ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っている。米国では、アッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売している。