貯金実態調査2020 コロナ後の貯金平均は72万円増加の389万円  リーディングテック

 リーディングテックは28日、コロナ禍の影響が大きいとみられる『貯金実態調査2020』の結果を公表した。同調査は、本年10月8日から14日の7日間、全国の18歳以上の男女を対象にオンライン形式で実施された。対象となった2432人のうち46.1%に当たる1121人から有効回答を得たもので、その結果、貯金額の平均値は389万円(昨年度は317万円)、貯金額の中央値は200万円(昨年度は100万円)であった。新型コロナに係る特別定額給付金や外出自粛で貯金額が増加したものと考察される。

 上図は世帯貯金額の分布をヒストグラムで表したものである。100万円未満が最も多く、その割合は回答者全体の33.8%に上った。中央値は200万円であった一方で、平均値は389万円となり、1000万円以上貯金している一部の世帯が平均を押し上げていると考えられる。

 上図は2019年度と2020年度における貯金額のヒストグラムを重ね合わせたものである。2020年度は100万円未満の割合が9.7ポイント減少し、1000万円以上が4.2ポイント増加している。
 また、平均値は317万円から389万円に増加し、中央値も100万円から200万円に増加した。
 このように全体的に貯金総額が増加した原因として、新型コロナに係る特別定額給付金で臨時収入があったことや、外出自粛により娯楽支出が減ったことなどが挙げられる。特に、貯金1000万円以上が増加しているのは、貯金が多い世帯における娯楽支出の減少幅が他の層よりも大きかったことが原因と推察される。

 上図は100万円未満の回答の内訳を表したものである。0~20万円と回答した「貯金が実質ゼロに近い層」と、50~55万円と回答した「余裕があるとは言えないが生活費のバッファがある層」に分かれていると解釈できる。

 上図は100万円未満の回答について、2019年度と2020年度のヒストグラムを重ね合わせたものである。前述した0~20万円の「貯金が実質ゼロに近い層」が大幅に減少し、50~55万円の「余裕があるとは言えないが生活費のバッファがある層」が増加したことが分かる。
 この結果から、新型コロナに係る特別定額給付金は「貯金が実質ゼロに近い層」の減少という観点では一定の効果があった可能性がある。

 上図は年齢別に貯金額の平均値を算出したものだ。
年齢とともに貯金額が増加していき、60代を境に減少に転ずる傾向がみられる。

 上図は、2019年度と2020年度で年齢別の貯金額の平均値を比較したものである。2020年度では、2019年度と比較して60代の貯金額が大幅に増加する結果となった。ただし、60代のサンプル数は2019年度は12、2020年度は22と少ないため、年齢別の貯金動向を明らかにするにはより大規模な調査が必要であると思われる。(なお、60代の各回答を個別に確認したところ大きな外れ値は見つかっていない)

 上図は世帯年収別の貯金額の平均値を算出したものだ。世帯年収が多い世帯ほど貯金額が多いことがわかる。2019年度調査では世帯年収と貯金額の相関が薄かったが、2020年度では相関が顕著に表れる結果となった。

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