XR活用でMRと医療関係者の新たなコミュニケーション基盤構築 大日本住友製薬とKDDI

 大日本住友製薬は18日、同社とKDDIがXR(Extended Reality:仮想空間技術の総称)を活用した新たなコミュニケーション基盤構築に向けた取り組みを開始したと発表した。
 同取り組みは、新型コロナウイルス感染症の影響で対面による情報提供活動が困難な中、MRと医療関係者とのコミュニケーションのさらなる円滑化を目的としたもの。
 両社は、同取り組みにおいて、スマートグラスを含めたXRで活用可能な医薬品情報の3D映像コンテンツなどの制作やバーチャルコミュニケーションスペースの構築を目指す。

<スマートグラスを活⽤したコミュニケーションイメージ>
<医薬品などの製品解説コンテンツイメージ>

 製薬業界では、MRと医療関係者のコミュニケーションにおいて、医薬品情報を正確に分かりやすく伝えるため、従来の文書や映像による説明に加えて、多彩な表現により直感的に伝わるコミュニケーションツールを活用したいというニーズがあった。
 こうした背景から大日本住友製薬は、従来の情報提供に加えて、デジタル技術を介した医療関係者向けの新たなコミュニケーションチャネルとして、情報提供 iMRおよびvMRを追加している。
 今回両社は、MRと医療関係者のコミュニケーションのさらなる円滑化および新型コロナウイルス感染症の影響による医療機関への訪問規制などへの対策を目的に、XRを活用した新たなコミュニケーション基盤構築の取り組みを開始する。
 両社による同取り組みの先行事例として、大日本住友製薬は、本年6月に発売した非定型抗精神病薬「ラツーダ」関連の一部の講演会において、当該製品の日本で発売されるまでのストーリー映像や分子構造体等の3D映像を、「NrealLight」を用いて参加者に紹介した。

<NrealLight 画像>


「NrealLight」は、スマートフォンに接続して動作するエンリアル (本社: 中国北京市) が開発したサングラス型ディスプレイで、コンパクトなサイズ感、重量は88gと軽量でかけやすく、スマートフォンの楽しみ方を拡張するデバイスとして5Gとともに普及が予想されている。
 内蔵カメラで空間を認識し、6DoFでトラッキング可能なため、デジタルコンテンツを現実世界に配置するような表現が可能だ。エンリアルとKDDIは、日本市場におけるスマートグラス製品の共同企画・開発の推進および国内展開のサポートなどの戦略的パートナーシップを締結している。
また、「NrealLight」の法人企業における本格業務活用事例は日本初で、大日本住友製薬は今後も活用していく。
 今後、大日本住友製薬とKDDIは、次の2つの取り組みを開始し、大日本住友製薬は2020年度中に医療関係者への情報提供活動において試験的に実施する。

(1)スマートグラスで活用可能な、医薬品などの解説コンテンツの制作
 「ラツーダ」に関するコンテンツに加えて、医薬品の詳細情報や、臓器・細胞・医薬品分⼦構造などのコンテンツを制作し、3D映像で説明することにより、MRと医療関係者同士のコミュニケーションをさらに円滑化する。
(2)オンライン説明会・講演会などのバーチャルコミュニケーションスペースの構築
 参加者の居場所や地理的な制限を受けることなく、柔軟な参加や閲覧を可能とし、さまざまなVRデバイス対応のバーチャル空間を活⽤したコミュニケーションの場を構築する。
 大日本住友製薬と KDDI は、今後も健やかな社会の実現を目指して、同取り組みを推進していく。

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