世界初の「ロボット統合コントローラー」をグローバル発売  オムロン

 オムロンは、31日より生産設備を構成するロボットと制御機器をOneコントローラーで統合制御する世界初の「ロボット統合コントローラー」をグローバルで発売する。「ロボット統合コントローラー」を使用することで、従来、人に頼るしかなかった高度で複雑な作業がロボットで自動化でできるようになる。
 また、バーチャル環境での生産設備の設計や変更のシミュレーション、リモートによる設備の立ち上げや調整、メンテナンスを実現する。高度な人手作業の自動化、バーチャルとリアルの融合による遠隔でのシステム構築により、コロナ禍で更にニーズが高まる、高度に自動化されたモノづくり現場の革新を目指す。
近年、モノづくりは従来からの人手不足などの課題に加え、新型コロナウィルスの影響により、製造現場でのソーシャルディスタンスの確保や出張などの移動制限、リモートワークなどの新しい働き方の追求を背景に、大きな転換点を迎えている。こうした中、生産におけるレジリエンスを高めるための自動化導入や、デジタル技術によるエンジニアリング環境の変革に対する要求が高まっている。
 だが、生産設備を構成するロボットとセンサーなどの制御機器は、それぞれ別のコントローラーで制御されていたため、各種機器間のスピードやタイミングを連携させた制御が難しく、高度で複雑な作業の自動化は極めて困難であった。また、設備の構築プロセスにおいても、事前に工程設計などを精度高く検証することができず、設備を立ち上げた後、現場で、現物での調整が必要であり、後戻りや仕様変更が常態化し、膨大な工数が必要であった。
 オムロンは、設備を構成するセンサーから、モーション、ロボット、さらにセーフティなど自動化に必要な機器をトータルに保有しており、独自のコンセプト“i-Automation!”を掲げて製造現場の革新に取り組んでいる。
 今回導入する「ロボット統合コントローラー」により、“i-Automation!”が更なる進化を遂げ、製造プロセスに必要な制御機器をシームレスに統合することで、以下“2つの統合”で「人の多様な作業の自動化」、「ロボットとステージなどの周辺機構の高度な同期」を可能とし、バーチャルとリアルを融合した「時間や場所の制約にとらわれずに、遠隔地の技術者と協力し合う、新たなエンジニアリングスタイル」を実現する。オムロンは、オートメーションプロバイダーならではのモノづくりの革新で、ニューノーマル時代における製造現場の変革にチャレンジする。

制御の統合による高度な人手作業の自動化

 「ロボット統合コントローラー」の高度でシームレスな制御により、従来は人にしかできなかった、微妙な角度や力の入れ具合を探りながら行う挿入や組付けなど繊細で巧みな加工・組立工程を自動化する。また、Oneコントローラーでロボットとステージなどの周辺機構がリアルタイムで完全同期することで、装置性能を向上し、世界最高レベルのスループットを実現する。

構築プロセスの統合によるリアルとバーチャルを融合したシステム構築

 今まで異なっていたロボットとマシン制御のプログラミング言語を統一し、1つのソフトウェア統合開発環境上で簡単にシミュレーションする技術を確立した。これにより、PLCのエンジニアもロボット制御を設計することが可能になる。また、ロボットのみならず、入力機器から出力機器までを含めた3D動作シミュレーションやオフラインティーチングにより、設備立ち上げ前に動作や生産能力を見える化し、工程設計や動作検証の工数を50%削減した。さらに、このバーチャル環境下とリアル環境の生産設備を接続することで、リモートでの設備立ち上げ、メンテンナンスが可能となる。
 統合コントローラーの特長と利点の主な概要は、次の通り。
 ・PLC、モーション、ロボット制御をOneコントローラーで統合制御することにより、今まで人にしかできなかった、複雑な人手作業がロボットで実現できる。この制御の統合で匠の技が自動化されたものづくり現場、ロボットとステージなどの周辺機構が高度に同期された自動化を実現する。
 ・PLCとロボットの言語を汎用的なIEC言語に統一、PLCが利用できるエンジニアが自由にロボットを扱えるようになる。
 ・シミュレーション技術により設備設計の初期段階で、装置パフォーマンスの検証を可能にし、設備の仕様特定を担うメカ設計者と、設備の制御プログラミングを担う電気設計者が協議しながら並行して設計できるようになる。その結果、高い生産能力の実現や、設備立上げ時のミスや後戻りを防止し、短期間の立上げを実現する。
 ・シミュレーションの実行には、Sysmac Studio内のエミュレーションを使用するため、動作確認のための実機接続は不要だ。また、デジタル上でロボット設備の生産能力を把握できる。 ・デジタル化された過去資産の再活用による、次回設備の立上げ容易化を実現する。

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