パーサビブシリンジ 国内製造販売承認を取得     小野薬品

 小野薬品は29日、カルシウム受容体作動薬「パーサビブシリンジ」について、国内製造販売承認を取得したと発表した。
 今回の承認により、パーサビブは、「血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」の治療薬として 既に承認されている静注透析用製剤に加え、新たに静注透析用シリンジ製剤としても提供することが可能になった。
 パーサビブシリンジは、シリンジ内にあらかじめ薬剤が充填されているために速やかな投与が可能になることから、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症の治療に携わる医療従事者のの負担軽減、感染リスクの低減等が期待される。また、パーサビブの製品名がシリンジに記載されているため、取り違え防止に寄与する。
 二次性副甲状腺機能亢進症は、慢性腎不全の合併症のひとつで、副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される病態である。PTH の過剰分泌により、骨からのリンおよびカルシウムの血中への流出が促進され、骨痛や関節痛などの症状が引き起こされる。
 また、骨から溶け出したリンおよびカルシウムが全身の心血管系に蓄積するため、動脈硬化などの心血管系障害の発症リスクが高まり、生命予後に影響を及ぼすことが、日本透析医学会「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」(2012年)で報告されている。
 パーサビブは、副甲状腺にあるカルシウム受容体に作用することで、PTH の過剰な分泌を抑制し、血中のリン値およびカルシウム値を低下させる。同剤は、2011年9月に当社が旧米国 KAI 社(後に Amgen 社が買収)より導入した世界初の静注カルシウム受容体作動薬。
 日本では、2016年12月に小野薬品が「血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」の効能又は効果で製造販売承認を取得。2017年2月に「パーサビブ静注透析用 2.5mg、5mg、10mg」の製品名で発売した。
 海外においては、Amgen 社が、2016年11月に欧州で「慢性腎臓病に伴う血液透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症」を適応として、また、2017年2 月に米国において同適応症で承認を取得している。

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