大日本住友製薬は22日、米国における非定型抗精神病薬「ラツーダ」の用途特許(米国特許番号:9,815,827)に関して、米国特許商標庁(USPTO)に対してSlayback Pharma LLC(米ニュージャージー州)からInter Partes Review(IPR)のを申立てがあったと発表した。
IPR は、第三者(申立者)が特許権者を相手方として米国特許商標庁(USPTO)に特許の無効申立てを行い、当事者間で特許の有効性を争う手続き。USPTO は、申立書の正式受理から半年以内に、申立書と特許権者が任意提出する初期答弁書の内容を考慮して米国特許公判審判部(PTAB)による審理を開始するかを決定する。審理が開始された場合、法令上 PTAB による最終決定までの審理期間は開始決定から原則として最大1年間と定められている。この審判手続において、両当事者からの答弁書提出、ディスカバリーや口頭審理等が行われ、特許の有効または無効についての書面での最終決定がなされる。
なお、最終決定を不服とする当事者は、連邦巡回控訴裁判所に決定の取消しを求めて控訴することができ、最終的な解決に至るまでにはさらに数年間かかることがある。
大日本住友製薬は、ラツーダの用途特許は有効であると確信しており、同申立てによる同社の2021年3 月期の連結業績予想および2022年3月期以降の連結売上収益の見通しに対する重要な影響があるとは考えていない。今後、大日本住友製薬では、公表すべき重要な事項が発生した場合、速やかに開示する。
ラツーダは、大日本住友製薬が創製した独自な化学構造を有する非定型抗精神病薬であり、米国では、2011年2月より「LATUDA」の販売名で同社米国子会社のサノビオン社が販売している。
2018年11月に「米国における非定型抗精神病薬「LATUDA」の後発品申請に対する特許侵害訴訟に関する紛争終結」により、同社およびサノビオン社と米国の複数の後発品メーカーとの間の和解契約により、米国の複数の後発品メーカーは、2023年2月20日以降、ルラシドン塩酸塩の後発品を米国で販売することができる。